
――Excelは、社長の最強の管理会計ツールである・第5回――
社長と現場ではExcelの使い方がそもそも違う
Excelは便利なツールですが、使う人によって求められる機能や構造は大きく異なります。
社長が見るExcelは、意思決定のための情報を最短で得るための「分析・レポート中心」。
一方、現場が使うExcelは、日々の業務を効率よく回すための「入力・記録中心」です。
この違いを理解せずに1つのExcelで両方を賄おうとすると、壊れやすく使いづらいExcelになります。
社長が見るExcelの特徴
1. 「一目で判断できる」構造
社長が求めるExcelは、数字を見ただけで次のアクションが分かることです。
- 月次売上・粗利・営業利益を一画面で確認
- 部門別や商品別の比較がすぐできる
- グラフや指標で傾向を把握
ケーススタディ:小売業
- 改善前:売上、経費、在庫が複数シートに分散 → 月次報告に1日かかる
- 改善後:集計シートから必要指標を抽出 → グラフ化
- 結果:社長は数分で店舗ごとの収益状況を把握可能
2. 計算や入力の複雑さは不要
社長が使うExcelには、複雑なIF関数やVLOOKUPは基本不要。
必要なのは「正しく集計された数字」と「判断に必要な指標」です。
現場が使うExcelの特徴
1. 日々のデータを効率よく入力
- 売上や原価、工数など、現場で発生する情報を正確に記録
- 入力が簡単で、誰でもミスなく使えることが重要
ケーススタディ:製造業
- 改善前:原価を手書きで入力 → 月末にまとめてExcelに転記 → ミス多発
- 改善後:日次で工程別データを入力 → 集計シートに自動反映
- 結果:入力ミス激減、月末の作業も短縮
2. 計算や集計は最小限
現場のExcelでは、複雑な関数よりも自動で集計できるシンプルな構造が重要です。
- ピボットテーブルやSUM関数など、必要最小限で運用
- 計算式が複雑すぎると現場は混乱し、入力が止まる
両者を一つのExcelで混ぜるとどうなるか
多くの会社で起こる失敗例です。
- 現場が日次入力するシートに社長向けのグラフや分析を混在
- 集計用関数が複雑で、現場が入力しづらい
- 社長は判断のための数字を探すのに時間がかかる
結果:Excelが壊れやすく、月次が回らなくなる。
この状況を避けるためには、社長用と現場用で役割を分けるのが鉄則です。
社長用・現場用Excelを連携させる方法
1. シートやファイルを分ける
- 入力は現場用シート/現場用ファイル
- 集計・分析は社長用シート/社長用ファイル
2. 自動リンクで集計
- 現場シートのデータを、関数やピボットテーブルで社長用シートに自動反映
- 社長は入力作業をせず、即判断可能
ケーススタディ:サービス業
- 現場:日次で売上・稼働数を入力
- 集計:集計シートが自動で店舗別売上・粗利を計算
- レポート:社長用シートにグラフ表示
- 結果:社長は1画面で全店舗の状況を把握、現場は日々の入力だけに集中可能
現場も社長もストレスなく使うExcel設計のポイント
- 役割を明確に分ける
- 現場は「入力・記録」、社長は「判断・分析」
- データは一元化
- 入力は現場で、集計・分析は自動リンク
- 複雑な計算式は集計用に限定
- 現場用はシンプルに、社長用で必要な分析のみ
- 可視化で判断を最短化
- グラフ・指標・色分けで一目で判断できるようにする
ケーススタディ:製造業×小売業の併用
- 製造部門:工程別原価を日次入力
- 小売部門:店舗別売上を日次入力
- 集計シート:部門別・店舗別に自動集計
- 社長用シート:月次粗利率・損益分岐点をグラフ化
結果:
- 現場は入力作業だけに集中
- 社長は数分で判断可能
- 月次が滞らず、意思決定スピード向上
今日からできる分離型Excelの作り方
- 現場用シートで日次データをシンプルに入力
- 集計用シートで自動計算・関数を最小限に
- 社長用シートで意思決定に必要な指標・グラフを表示
- 入力・集計・分析の流れを明確にする
これだけで、現場も社長もストレスなく使えるExcelが完成します。
Excelは1枚のシートで完結させるのではなく、役割を分けた設計こそが、
最強の管理会計ツールを作る秘訣です。
今日の一言
社長用と現場用は役割が違う。
現場は入力、社長は判断。
