
――Excelは、社長の最強の管理会計ツールである・第3回――
関数より先にやるべきことがある理由
Excelで管理会計を作ろうとすると、多くの人はまず関数を覚えようとします。
- SUMやAVERAGE
- VLOOKUPやIF関数
- ピボットテーブルやINDEX/MATCH
もちろん関数は便利ですが、関数をいくら覚えても設計ができていなければ、Excelは壊れやすく使いづらいツールにしかなりません。
社長の意思決定を支えるExcelにするためには、まず「設計」の段階を徹底することが重要です。
設計のゴールは「判断できるExcel」
Excel設計の目的は、関数を使いこなすことではなく、社長が即判断できる状態を作ることです。
- 月次の利益、売上、コストを一目で把握できる
- 事業別や店舗別の収益状況が即わかる
- 「次に何をすべきか」が数字を見て判断できる
関数はこの判断を助けるためのツールであって、ゴールそのものではありません。
関数を使う前に決めるべき3つの設計
1. シート構造を整理する
- 入力シート:日次・週次・月次の生データ
- 集計シート:事業別・部門別・商品別の集計
- 分析シート:社長や経営会議で使うグラフや指標
ケーススタディ:小売業
改善前:売上と在庫、経費を同じシートに入力 → 計算が複雑で誰も理解できない
改善後:
- 入力シート:店舗ごとの日次売上と在庫入力
- 集計シート:月次の売上・粗利を自動集計
- 分析シート:店舗別粗利率のグラフで即比較
結果:社長は数字を見ただけで、どの店舗が改善が必要か判断可能
2. 入力ルールを明確にする
- 数値の単位(円、千円など)
- 日付やコードのフォーマット
- 記入必須項目の明示
ケーススタディ:製造業
- 改善前:工程別の原価を担当者任せで入力 → 桁違いや入力漏れが頻発
- 改善後:ドロップダウンで工程選択、必須項目には入力規則を設定
- 結果:計算ミスゼロ、担当者交代でも運用可能
3. 判断に必要な指標を先に決める
- 売上だけでなく「粗利」「営業利益」「在庫回転率」など
- どの指標を見れば判断できるかを設計段階で決める
ケーススタディ:サービス業
- 改善前:売上と経費だけ入力 → 利益構造がわからない
- 改善後:売上、直接経費、間接経費を分け、粗利・営業利益を計算
- 結果:社長は「どこにコスト削減の余地があるか」を即判断可能
設計ができれば、関数は後から覚えても十分
- ピボットテーブルやIF関数は後から追加
- 設計がしっかりしていれば、関数は「自動化」と「表示改善」のために使える
- 関数に振り回されず、社長の判断が中心になる
ケーススタディ:小規模製造業
- 改善前:IFやVLOOKUPを駆使しても、入力シートが複雑 → 修正が難しい
- 改善後:入力シートをシンプルに統一、関数は集計シートのみで使用
- 結果:担当者交代やデータ量増加にも耐え、10年以上運用可能
今日からできるExcel設計のステップ
- 入力・集計・分析シートを分ける
- 入力ルールとフォーマットを統一する
- 判断に必要な指標を先に決める
- 関数は後から追加して自動化や見やすさに活用する
この順番を守るだけで、壊れにくく、社長が即判断できるExcelが完成します。
関数はあくまで道具、社長の判断を中心に設計することが最優先です。
ケーススタディ:小売業の改善例
- 入力:日次売上と在庫を店舗ごとに入力
- 集計:月次粗利を自動計算
- 分析:店舗別粗利率のグラフ
- 関数は集計自動化のために最小限使用
結果:社長は数字を見ただけで意思決定可能、Excelの運用が長期化
今日の一言
関数を覚える前にやるべきは、
「入力・集計・分析のシート設計」
「入力ルールの統一」
「判断に必要な指標の決定」。
