②社長が見るべき“売上構造”は3つしかない


「売上をもっと細かく見ましょう」が、社長を疲れさせる

前回の記事では、「売上を分解しすぎると、社長は迷子になる」という話をしました。
商品別、顧客別、チャネル別、担当者別……。
気づけばExcelは何十シート、数字は何百行。

確かに、それらは“正しい分析”です。
でも、ここで一つ問いを投げかけたいのです。

その数字を見て、あなたは“決められていますか?”

多くの社長さんが陥っているのは、「分析している感覚」と「決断できている状態」を混同してしまうことです。
社長の仕事は、分析そのものではありません。
意思決定です。

では、社長が“迷わず決める”ために見るべき売上構造とは、何なのか。
結論から言います。

社長が見るべき売上構造は、たった3つしかありません。

社長が見る売上は「現場用」と違っていい

まず大前提として、ここでお話しする「売上構造」は、
営業マネージャーやマーケ担当が使う分析とは違います。

現場は、
・どの商品が売れているか
・どの顧客が太いか
・どの施策が当たっているか

を細かく見る必要があります。

一方、社長が見るべきなのは、

  • この会社は、どこでお金を生み出しているのか
  • その状態は、将来も続きそうか
  • 手を打つなら、どこに手を入れるべきか

という構造の話です。

つまり、
「細かさ」よりも「判断できるかどうか」。
この視点が欠けると、社長はいつまでも数字に振り回され続けます。

売上構造①|“新規”でどれだけ稼いでいるか

最初の構造は、とてもシンプルです。

売上のうち、どれだけが「新規顧客」から生まれているか。

ここで言う新規とは、「初めて取引する顧客」だけでなく、
・新商品
・新サービス
・新しい売り方
も含めて考えてください。

新規売上が示すもの

新規売上は、会社の「攻め」の力を表します。

  • 市場にまだ受け入れられているか
  • 営業・集客のエンジンは回っているか
  • 将来の顧客候補が生まれているか

新規がまったく取れていない会社は、
どれだけ今が安定していても、じわじわと先細りします。

ケース:紹介だけで回っている会社

ある士業事務所の例です。
売上は安定、利益もそこそこ。
しかし、売上の9割以上が既存顧客からの継続と紹介でした。

一見、理想的に見えます。
でも、新規売上を構造で見ると、自分たちで新規を作れていない状態。

この場合、
・紹介が止まった瞬間
・主要顧客が離れた瞬間

一気に不安定になります。

新規売上は、
会社が未来に向かって呼吸できているかを見る指標なのです。

売上構造②|“既存”がどれだけ積み上がっているか

次に見るべきは、既存売上です。

過去に取引した顧客から、どれだけ売上が積み上がっているか。

ここには、
・リピート
・継続契約
・保守・サブスク
・追加受注

などが含まれます。

既存売上が示すもの

既存売上は、会社の「守り」と「安定性」を表します。

  • 顧客満足度はどうか
  • 提供価値は続いているか
  • 営業が“毎回ゼロから”になっていないか

既存売上が弱い会社は、
常に新規を追い続けなければならず、社長も現場も疲弊します

ケース:売上はあるのに、毎月不安な会社

売上は月商500万円。
しかし、そのほとんどが単発案件。

社長は毎月こう言います。
「今月はなんとかなるけど、来月が怖い」

この不安の正体は、
既存売上が構造として存在していないことです。

既存が積み上がらない限り、
売上は“作業量”と強く結びつき、自由度を奪います。

売上構造③|“一点依存”になっていないか

3つ目が、意外と見落とされがちな構造です。

売上が、特定の何かに依存しすぎていないか

例えば、

  • 売上の6割が1社
  • 特定商品が売上の大半
  • 社長個人の人脈に依存
  • 特定のプラットフォーム頼み

これらはすべて「一点依存構造」です。

一点依存が示すもの

一点依存は、
短期的には効率が良く、数字もきれいに見えます。

しかし、
・環境変化
・契約条件変更
・人の問題

一つズレただけで、売上が崩れます。

ケース:好調なのに、社長が休めない会社

売上も利益も出ている。
でも、社長が現場を離れると売上が落ちる。

これは、
「売上が社長という一点に依存している」構造です。

この状態では、
事業は回っていても、経営は安定していません。

なぜ「この3つ」だけでいいのか

ここまで読んで、
「もっと他にも見るべき指標があるのでは?」
と思われたかもしれません。

もちろん、あります。
でも、それは社長が毎回見る必要はありません。

この3つは、共通してこういう特徴があります。

  • 見た瞬間に、良い/悪いが判断できる
  • 次に何を決めるべきかが見える
  • 現場に指示を出しやすい

つまり、
“決めるための売上構造”なのです。

売上構造は「管理」ではなく「設計」

売上構造を見る目的は、
過去を細かく反省することではありません。

  • 新規を増やすのか
  • 既存を積み上げるのか
  • 依存を減らすのか

このどれに手を打つのかを決めるためです。

そして、これは感覚の話ではなく、
設計の話です。

売上は、偶然の結果ではありません。
どこに力をかけるかを決めた結果として、構造ができます。

今日の一言

社長が見るべき売上は、「細かい内訳」ではない。
“新規・既存・依存”の3つの構造だけ見れば、次の一手は決められる。


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