③利益は感覚ではなく“設計対象”である


―「なんとなく儲かっている経営」から卒業するための話―

「利益は、出たらラッキー」になっていませんか?

「今月は、たぶん大丈夫だと思います」
「感覚的には、悪くないんですよね」
「忙しいから、きっと利益も出てるはずです」

社長と話していると、
利益の話になると、急に言葉が“ふわっと”する
そんな場面に何度も出会います。

これは不思議なことではありません。
多くの社長は、これまでこうやって経営してきたからです。

  • 忙しさで判断する
  • 通帳残高で一喜一憂する
  • 決算で結果を知る

でも、ここまでの回で見てきた通り、
このやり方には限界があります。

今回は、
「利益は感覚で追うものではなく、設計するもの」
という話を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

感覚経営が悪いわけではない。でも、限界がある

最初に誤解を解いておきます。

感覚経営=ダメ
という話ではありません。

むしろ、創業期や少人数の会社では、
社長の感覚は強力な武器です。

  • 現場を知っている
  • お客さんを知っている
  • 勘が鋭い

だからこそ、
「ここまでは感覚で何とかなった」
という社長が多いのです。

ただし、ある段階で壁にぶつかる

その壁とは、こういう状態です。

  • 売上は増えている
  • 忙しさも増している
  • でも、利益の手応えがない

ここで感覚だけに頼り続けると、
社長の頭の中は、だんだんこうなります。

よく分からないけど、
とにかく回している状態

この状態が続くと、
経営は運任せになっていきます。

利益を「結果」だと思った瞬間、コントロールできなくなる

多くの社長は、無意識のうちにこう考えています。

利益は、
「頑張った結果、あとから分かるもの」

この考え方のままでは、
利益はコントロール不能です。

なぜなら、

  • 利益が出た理由が説明できない
  • 出なかった理由も説明できない
  • 次にどうすればいいかも、感覚頼り

になってしまうからです。

ケーススタディ|飲食業D社の話

D社は、地域で人気の飲食店。
お客さんも多く、週末は満席です。

それでも社長は、こう言いました。

「忙しい割に、手元に残らないんですよね…」

詳しく話を聞くと、

  • 原価率はなんとなく把握
  • 人件費は「仕方ない」と思っている
  • いくら残したいかは、決めていない

つまり、
利益は“出たらいいな”という存在でした。

この状態では、
どれだけ頑張っても、
利益は安定しません。

利益が出る会社は、最初に「ゴール」を決めている

ここで、視点をガラッと変えてみましょう。

利益が安定している会社は、
こんな考え方をしています。

「いくら利益を残したいか」を
先に決める

  • 月にいくら残したいのか
  • 年間でどれくらい必要なのか
  • そのために、どんな形が必要か

つまり、
利益を“ゴール”として先に置くのです。

利益を先に決めると、何が変わるのか

不思議なもので、
ゴールが決まると、判断基準が変わります。

  • その仕事は、ゴールに近づくか?
  • その値段で、達成できるか?
  • その忙しさは、必要か?

これまで
「断れなかった仕事」
「何となく受けていた条件」
に、疑問が生まれます。

利益は「偶然」ではなく「設計の結果」

ここで、今日一番大事な話をします。

利益は、偶然生まれるものではない。
設計された構造の中からしか、生まれない。

設計と言っても、
難しい図面を書くわけではありません。

考える順番を変えるだけです。

多くの会社の考える順番

  1. 仕事が来る
  2. 売上が立つ
  3. 忙しくなる
  4. 残ったら利益

利益が残る会社の考える順番

  1. 残したい利益を決める
  2. そのための売り方を考える
  3. 取る仕事を選ぶ
  4. 結果として売上が立つ

同じ「売上」でも、
中身がまったく違います。

「設計する」とは、数字を細かく追うことではない

ここで、安心してほしいことがあります。

利益を設計する=
毎日数字とにらめっこする
ではありません。

むしろ逆です。

設計とは「判断を減らす」こと

あらかじめ設計されていれば、

  • 迷う場面が減る
  • 判断がブレにくくなる
  • 感覚が“確認”として使える

状態になります。

感覚を捨てるのではなく、
感覚を活かす土台をつくる
それが設計です。

社長が設計すべきは、たった一つ

ここまで読んで、
「じゃあ、何から設計すればいいの?」
と思ったかもしれません。

答えはシンプルです。

利益を、
“管理できるもの”として扱うこと

  • いくら残したいのか
  • そのために、どんな売上が必要か
  • どんな忙しさなら許容できるか

これを、
言葉で説明できる状態にする。

それだけで、
経営は大きく変わります。

次回予告|言葉で、利益をつかまえる

次回は、
「利益の話を、数字ではなく“言葉”で整理する」
というテーマで進めます。

いきなり計算はしません。
まずは、

  • 自分の会社は、どこで利益を出しているのか
  • 何をやめたら、楽になるのか

を、言葉でつかまえるところから始めます。

今日の一言

利益は、感じ取るものではない。
社長が“先に決めて、後から確認するもの”である。

ここに気づいた瞬間、
経営は「運」から「設計」へと切り替わります。


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