④ワーク:自社の「利益の出どころ」を言語化する


―数字を触る前に、社長がやるべき一番大事な整理―

「で、うちは結局、どこで儲かっているんでしたっけ?」

ここまで3回にわたって、
利益について、かなり大事な話をしてきました。

  • 黒字でも安心できない理由
  • 頑張って売っても利益が残らない構造
  • 利益は感覚ではなく、設計対象であること

ここまで読んだ社長の中には、
こんな違和感が芽生えている方も多いはずです。

「言っていることは分かる」
「でも、じゃあ“うちの場合”はどうなんだろう?」

とても健全な反応です。
そして、その問いに向き合うのが、今回のテーマです。

今回は、
数字を一切使わずに
自社の「利益の出どころ」を言葉にするワークを行います。

なぜ、いきなり数字を見ないのか?

ここで、よくある質問が出てきます。

「利益の話なのに、
数字を見ないんですか?」

はい。
あえて、見ません。

理由はシンプルです。

数字を先に見ると、
ほとんどの社長は、こうなります。

  • 細かい話に入る
  • 正解探しになる
  • 「分からない」で止まる

そして本当に考えるべき、
“構造の話”にたどり着けなくなるのです。

今回やるのは、
「正確な分析」ではありません。

目的はただ一つ。

社長自身が、
自分の言葉で
利益を説明できるようになること

ワークの前に|よくある「言語化できていない状態」

まずは、典型的な状態を見てみましょう。

パターン①|売上の話しか出てこない

  • 「〇〇の売上が多くて」
  • 「最近は△△が伸びていて」

これは、
利益ではなく、売上を見ている状態です。

パターン②|経費の愚痴で終わる

  • 「人件費が高くて」
  • 「材料費が上がって」

これも同じです。
利益の出どころは、どこにも出てきません。

パターン③|全部まとめて「全体的に」

  • 「全体的に薄利なんですよね」
  • 「うちは業界的に厳しくて」

これは、
考えることを諦めかけているサインです。

今回のワークでは、
この状態から一歩抜け出します。

ワーク①|「うちの会社は、何屋ですか?」を言い直す

まず最初の問いです。

Q1:あなたの会社は、何屋ですか?

多くの社長は、
業種名で答えます。

  • 建設業です
  • ITです
  • サービス業です

ここから、一歩踏み込みます。

次の制約を付けてください

  • 業種名は禁止
  • 売上金額は禁止
  • 商品名・サービス名も一旦禁止

使っていいのは、
「お客さん」と「価値」だけです。

×「〇〇工事をやっています」
〇「〇〇で困っているお客さんを、△△な形で楽にしている」

これは、
利益が生まれる前提条件を言語化する作業です。

ワーク②|「楽に儲かる仕事」と「しんどい仕事」を分ける

次の問いです。

Q2:同じ売上でも、
正直“楽な仕事”と“しんどい仕事”はありませんか?

ここで、初めて
社長の“感覚”を使います。

紙を2つに分けて、

  • 左:やっていて比較的ラクな仕事
  • 右:やっていてしんどい仕事

と書き出してください。

ポイントは「理由」を書くこと

  • なぜラクなのか
  • なぜしんどいのか

ここで出てくる言葉に、
利益のヒントが詰まっています。

  • 毎回流れが決まっている
  • 説明が少なくて済む
  • トラブルが起きにくい

逆に、

  • 毎回条件が違う
  • 想定外が多い
  • 社長が出ないと収まらない

この差こそが、
利益構造の正体です。

ケーススタディ|製造業E社の場合

E社の社長は、
最初こう言いました。

「どの仕事も大変ですよ」

しかし、ワークを進めると、
こんな言葉が出てきました。

  • 定番品は、ほぼ考えなくていい
  • 特注品は、毎回バタつく
  • 売上は特注の方が大きい

ここで初めて、
社長は気づきました。

「忙しさの原因と、
利益の源泉がズレている」

この“気づき”こそが、
数字分析では得られない成果です。

ワーク③|「なぜ、それでお金を払ってもらえているのか?」

次の問いです。

Q3:お客さんは、
なぜあなたにお金を払っているのでしょうか?

ここでも、
「品質がいいから」「真面目だから」
は一旦置いておきます。

もう一段、掘り下げます。

  • 手間が省けるから
  • 不安が減るから
  • 判断しなくていいから

この答えが、
利益の“源”です。

価格競争に巻き込まれにくい会社ほど、
ここがハッキリしています。

ワーク④|「利益が出る流れ」を一文で表す

ここまで来たら、
最後のまとめです。

次の文章を完成させてください。

「うちの会社は、
〇〇なお客さんに対して、
△△な価値を提供することで、
無理をしなくても利益が残る構造になっている」

最初は、
しっくりこなくて当然です。

でも、この一文を考える過程そのものが、
利益構造設計の第一歩です。

言語化できると、何が変わるのか?

このワークを終えた社長から、
よく出てくる言葉があります。

  • 「頭が整理された」
  • 「やらなくていいことが見えた」
  • 「判断が楽になりそう」

理由は明確です。

利益の話が、
“感覚”から“言葉”に変わったから

言葉になれば、
次は数字に落とせます。

でも逆はできません。
数字から言葉は、生まれにくい。

次回予告|言葉を、数字につなげる準備へ

次回からは、
この言語化を土台にして、
少しずつ数字の話に入っていきます。

いきなり細かく分解はしません。
まずは、

  • 見る数字を絞る
  • 判断に使える形にする

その準備です。

今日の一言

利益の正体は、
決算書の中ではなく、
社長の言葉の中にある。

ここを言語化できた社長から、
利益は「たまたま」ではなく
「狙って残すもの」に変わっていきます。


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