
――限界利益を制する者が、経営を制する・第4回――
「今月、いくら売れたら安心ですか?」
この質問をすると、
多くの社長がこう答えます。
- 「できれば多い方がいいですね」
- 「去年よりは上回りたい」
- 「感覚的には、このくらい…」
でも、
数字で即答できる社長は、実は少数派です。
「いくら売れたら安心か分からない」
この状態こそが、
社長の不安の正体です。
社長の不安は「売上不足」ではない
ここで一つ、
視点を変えてみましょう。
社長が不安なのは、
- 売上が少ないから
ではありません。
本当は、
「どこまで売れれば大丈夫なのか分からない」
これが、
一番のストレスです。
ゴールが見えないマラソンほど、
しんどいものはありません。
「なんとなく黒字」は、安心ではない
よくある言葉があります。
「今月は、たぶん黒字です」
この「たぶん」が、
社長の心を削ります。
- 黒字かもしれない
- でも余裕は分からない
- 来月はどうなるか分からない
これでは、
経営判断も守りに入ります。
安心とは「余白」が見えている状態
経営における安心とは、
売上が高いことではありません
安心とは、
「ここまで下がっても、まだ大丈夫」
という余白が見えている状態
です。
この余白を、
数字で表したものが、
- 限界利益
- 損益分岐点
です。
「安心売上」という考え方
ここで、
今日のキーワードを出します。
安心売上
これは、
- 損益分岐点 + α
で考えます。
この「α」が、
社長の安心を作ります。
ケーススタディ①:月商500万円でも不安な会社
ある会社の話です。
- 月商:500万円
- 一見、順調
でも社長は、
いつも不安そうでした。
理由はこれです。
- 損益分岐点:480万円
つまり、
- 500万円 − 480万円 = 20万円
この20万円の余白で、
- 予想外の支出
- 売上のブレ
- ちょっとしたミス
すべてを吸収しなければならない。
これでは、
安心できるはずがありません。
ケーススタディ②:月商300万円でも落ち着いている会社
一方、別の会社。
- 月商:300万円
- 損益分岐点:220万円
余白は、80万円。
この社長は、
とても落ち着いています。
- 値下げの判断が冷静
- 投資の話ができる
- 将来の話をする余裕がある
売上規模ではなく、
余白の大きさが、
社長の表情を変えます。
安心売上は「目標」ではない
ここで大事なことを言います。
安心売上は、目標売上ではありません
- 営業目標
- ノルマ
ではない。
安心売上は、
「最低限、ここは死守したいライン」
です。
このラインを知っているだけで、
- 焦らなくていい
- 無理な判断をしなくていい
安心売上はどうやって決めるのか?
考え方は、シンプルです。
① 損益分岐点を知る
② 社長が欲しい余白を決める
例えば、
- 損益分岐点:300万円
- 毎月、50万円は余裕が欲しい
なら、
安心売上 = 350万円
これだけです。
「余白」は、社長の価値観
ここが、
とても大事なポイントです。
余白に、正解はありません
- 攻めたい社長
- 安定を重視したい社長
- 家族との時間を守りたい社長
価値観によって、
- 必要な余白
- 安心の基準
は違います。
だからこそ、
社長自身が決める数字
なのです。
「いくら売れば安心か」が言えると、何が変わるか?
この質問に、
数字で答えられるようになると、
経営が変わります。
① 売上の一喜一憂が減る
- 今日は売れなかった
- 今月どうなるだろう
という感情より、
「まだ安心売上までは余裕がある」
という冷静さが生まれます。
② 無理な仕事を断れる
- 安い仕事
- 手間ばかりかかる仕事
に対して、
「今は安心売上を下回るリスクがある」
と判断できるようになります。
③ 投資の話が現実的になる
- 人を増やす
- 広告を出す
といった判断も、
「これをやると、安心売上はいくら上がるか?」
という視点で考えられます。
安心売上を知らない経営は「綱渡り」
安心売上を知らない経営は、
毎月、綱渡りをしている状態
- 落ちるかどうか分からない
- でも、渡り続けるしかない
とても、疲れます。
一方、
安心売上を知っている社長は、
安全ネットが見えている
だから、
一歩一歩が安定します。
数字は、社長を縛るものではない
最後に、
大事なことを伝えます。
数字は、
- 社長を管理するもの
- 社長を縛るもの
ではありません。
社長を、感情から解放するもの
です。
「なんとなく不安」から
「だから、こうする」へ。
今日の一言
安心できる社長とは、
「いくら売れたら大丈夫か」を
感覚ではなく、数字で語れる社長である。
