
――その判断、数字で言えますか?・第2回――
「忙しいのに、なぜか残らない」
これは、
スモールビジネスの現場で最もよく聞く言葉です。
- 朝から晩まで動いている
- 仕事は途切れない
- 断る暇もない
それなのに、
- 利益は薄い
- お金が残らない
- 社長だけが疲れていく
このとき、多くの社長はこう考えます。
「もっと頑張らないといけないのかな…」
でも、
問題はそこではありません。
問題は「仕事の量」ではなく「中身」
忙しい会社ほど、
ある落とし穴にはまっています。
それは、
“やらなくていい仕事”を、
真面目にやりすぎている
ということです。
しかもその多くは、
- 昔から続いている
- 断りにくい
- 一見、売上になる
という理由で、
疑われることなく続いている仕事です。
「売上がある仕事=良い仕事」ではない
ここで、
一度この前提を疑ってみてください。
売上がある
=
良い仕事
これは、
管理会計の視点では不十分です。
本当に見るべきは、
ここです。
その仕事は、
どれだけ限界利益を生んでいるか?
ケーススタディ①:社長が現場から離れられない会社
ある制作系の会社。
- 案件数:多い
- 売上:それなり
- 社長:常に現場
理由は、
「自分がやらないと回らない仕事」
が多すぎたからです。
数字を整理してみると、
- 売上はある
- でも限界利益が薄い
- 時間を大量に消費する
つまり、
社長の時間を削って、
ほとんど利益が残らない仕事
でした。
「儲からない仕事」には共通点がある
多くの会社を見てきて、
儲からない仕事には共通点があります。
- 単価が低い
- 手間が読めない
- イレギュラーが多い
- クレーム対応が多い
そして何より、
「やって当然」になっている
これが、一番危険です。
やる意味があるかどうかは「感情」では決めない
ここで、
社長がよく言う言葉があります。
- 「お世話になってるから」
- 「付き合いだから」
- 「今後につながるかもしれない」
これらは、
感情としては自然です。
でも、
経営判断としては曖昧です。
だからこそ、
数字で一度、冷静に見る
必要があります。
判断基準はシンプル
その仕事を続けるかどうか。
判断基準は、
とてもシンプルです。
その仕事は、
限界利益で固定費を支え、
さらに余白を生んでいるか?
YESなら、続ける意味があります。
NOなら、見直す価値があります。
ケーススタディ②:思い切って「やめた」仕事
ある卸売業の会社。
長年付き合いのある取引先から、
- 単価が低い
- 数量が少ない
- 細かい要望が多い
という仕事を受け続けていました。
数字で見てみると、
- 売上は立つ
- でも限界利益はほぼゼロ
社長は悩みましたが、
思い切って条件変更を提案。
結果、
- 相手は断った
- 仕事はなくなった
でも、
- 社内の負担は激減
- 他の仕事に集中できた
- 全体の利益はむしろ増えた
という結果になりました。
「やめる判断」は、攻めの経営
仕事をやめるというと、
- 後ろ向き
- 逃げ
に感じるかもしれません。
でも実際は、
やめる判断こそ、攻めの経営
です。
- 限られた時間
- 限られた人手
- 限られた資源
これらを、
どこに使うかを決める行為
だからです。
「将来につながる仕事」は、本当にあるのか?
よくある言い訳がこれです。
「今は儲からないけど、将来につながる」
これは、
完全に否定はしません。
ただし、
条件があります。
- いつ
- どうなったら
- どれくらい
儲かるのか、
数字で説明できるか?
ここが言えないなら、
ただの希望的観測
です。
社長の仕事は「選ぶこと」
現場で頑張ることより、
社長の本当の仕事はこれです。
やる仕事を選び、
やらない仕事を決めること
数字は、
その判断を助ける道具です。
- 好き嫌い
- 勢い
- 不安
ではなく、
限界利益という共通言語
で考える。
忙しい会社ほど、利益体質になれる
皮肉な話ですが、
忙しい会社ほど、
伸びしろがあります
なぜなら、
- 仕事はある
- 需要はある
あとは、
“選び方”を変えるだけ
だからです。
「断る勇気」ではなく「選ぶ基準」
最後に、
大事なことを言います。
仕事を断くのは、
勇気ではありません。
基準の問題
です。
- その仕事は、
- いくらの限界利益を生み、
- 自社の固定費を支え、
- 社長と社員を楽にしているか
この問いに、
数字で答えられるかどうか。
今日の一言
「売上が立つか」ではなく、
「限界利益で何を支えているか」で
仕事の価値を判断できる社長は、
忙しさから解放されていく。
