
― 社長の仕事は、本当に“決めすぎている” ―
「最近、決めることが多すぎて頭が回らない」
もしあなたが社長なら、一度はこんな感覚を持ったことがあるはずです。
- 朝から晩まで判断の連続
- 小さなことも現場から確認が飛んでくる
- 夜になっても「今日の判断、正しかったのか?」が頭から離れない
そしてふと、こんな疑問が浮かびます。
「社長って、こんなに毎日考え続ける仕事だったっけ?」
結論から言うと、
あなたが疲れているのは、能力不足でも気合不足でもありません。
単純に、“決めすぎている”のです。
社長は「判断する仕事」だからこそ、疲れる
よく言われますよね。
「社長の仕事は、決断だ」と。
これは間違いではありません。
むしろ、正しい。
ただし、多くの社長が勘違いしているポイントがあります。
それは、
社長は、すべてを決める仕事ではない
ということです。
ところが現実はどうでしょう。
- 値引きしていいかどうか
- この案件を受けるかどうか
- スタッフのシフトをどうするか
- クレーム対応の方針
- ちょっとした備品の購入判断
気づけば、大小さまざまな「決め事」が、すべて社長のもとに集まってきます。
しかも厄介なのは、
「どれも放っておくと問題になりそう」
「自分が決めた方が早い」
という、もっともらしい理由がついていることです。
決断疲れの正体は「判断の量」ではない
ここで一つ、重要な視点をお伝えします。
社長を疲れさせている本当の原因は、
判断の数そのものではありません。
疲労の正体は、
👉 “毎回、ゼロから考えていること”
にあります。
たとえば、こんな状態です。
- 「今回はどうしようか…」と毎回悩む
- 昨日と今日で、判断基準が微妙に違う
- 過去の決定を振り返ると「なんであの時OK出したんだろう」と思う
これ、かなり脳を消耗します。
なぜなら、
判断に“基準”がないからです。
ケーススタディ|A社長の「終わらない判断地獄」
ここで、よくあるケースを一つご紹介します。
従業員10名ほどのサービス業を営むA社長。
売上は安定しているものの、本人はいつも疲れ切っていました。
話を聞くと、こんな状態でした。
- 現場判断のほぼすべてを社長が承認
- 数字は見ているが、判断にどう使っているかは感覚頼り
- 「まあ、今回はいいか」が積み重なっている
本人は言います。
「自分が見ていないと不安なんですよね」
ところが実際には、
“見ている”のではなく、“考え続けている”状態でした。
- 何を自分が決めるべきか決まっていない
- 何を見て判断すればいいか決まっていない
- どこまで行けばOKなのか決まっていない
これでは、疲れない方がおかしいのです。
社長を疲れさせる「3つの思い込み」
多くの社長が、無意識に次の思い込みを持っています。
思い込み①「社長が決めた方が正しい」
確かに、経験もあります。
全体も見えています。
ただし、
正しいかどうかと
自分が毎回決めるべきかどうかは別問題です。
思い込み②「任せる=責任放棄」
これもよく聞きます。
でも実際は、
基準を決めずに任せることこそが放置です。
任せるとは、
「考えなくていい状態を作ること」
ではありません。
「同じ判断が再現される状態を作ること」です。
思い込み③「今は仕組みを作る余裕がない」
忙しい時ほど、そう思います。
ですが皮肉なことに、
仕組みがないから忙しいのです。
決断疲れしている社長ほど、優秀で真面目
ここで強調しておきたいことがあります。
決断疲れしている社長ほど、
- 責任感が強い
- 真面目
- 会社を何とかしたいと思っている
だからこそ、
「自分がやらなきゃ」
「ここは自分が決めないと」
と、判断を抱え込んでしまいます。
でも、その姿勢が結果的に、
- 社長しか判断できない会社
- 社長がいないと止まる組織
- 社長が一番疲れている状態
を作ってしまうのです。
「決めない社長」になる準備をしよう
ここまで読んで、
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
と思った方も多いでしょう。
安心してください。
答えは、“もっと頑張る”ことではありません。
必要なのは、
👉 決め方を変えること
👉 決める範囲を決めること
つまり、
「何を決めるか」を決める
という、一段上の意思決定です。
このシリーズでは、
社長が毎日消耗する判断から解放され、
“決めることだけに集中できる状態”を
どう作っていくのかを、順を追って解説していきます。
次回は、その第一歩。
次回予告
「決めることを決める」だけで、仕事は半分になる
― 社長が手放していい判断・いけない判断の境界線 ―
今日の一言
社長が疲れている理由は、決断が多いからではない。
「何を、どこまで決めるか」が決まっていないからだ。
