
――頑張らないと儲からない会社は、設計が間違っている・第11回――
「このモデルで、本当に儲かるんだろうか?」
ビジネスモデルを整理したあと、
多くの社長がここで立ち止まります。
- なんとなく良さそう
- 前より楽になった気はする
- でも…
「これで正解なのか、確信が持てない」
この不安、ものすごく健全です。
ビジネスモデルは“考えた瞬間”が一番危ない
なぜなら、
頭の中にあるモデルは、
だいたい“美化”されている
からです。
- 手間は少なめに見積もる
- 売上はやや楽観的
- コストはどこか曖昧
だから必要なのが「数字での点検」
ここで重要なのは、
立派な財務分析ではありません。
必要なのは、
「このモデル、
どこで・どれくらい儲かっているのか?」
を、
分解して確認することです。
数字で点検すると、必ず“違和感”が出る
これは断言できます。
- 思ったより利益が薄い
- 意外なところにコストが集中している
- 頑張っている部分が一番儲かっていない
ケーススタディ①:利益が出ている“つもり”だった会社
あるサービス業の会社。
- 月商:約500万円
- 忙しさ:MAX
- 社長の感覚:「まあまあ儲かってる」
数字で点検してみた結果
商品別に分解すると、
- Aサービス:利益率35%
- Bサービス:利益率5%
- Cサービス:ほぼ赤字
社長の反応
「え、
一番忙しいBが、
ほとんど利益出てない…?」
点検の第一歩:まずは“分ける”
ビジネスモデルを数字で見るとき、
最初にやることはこれです。
とにかく、分ける
分け方の例
- 商品・サービス別
- 顧客タイプ別
- 契約形態別
- 取引先別
「全部まとめた数字」は、だいたい嘘をつく
損益計算書(P/L)を一枚で見ている限り、
- どこが良いのか
- どこが悪いのか
は、ほぼ分かりません。
点検ポイント①:売上は「量」と「単価」に分ける
まず見るのは売上です。
でも、
売上=金額
で終わらせないでください。
こう分けます
- 何件売れたか(量)
- いくらで売ったか(単価)
ケーススタディ②:売上が伸びない理由
ある会社では、
- 売上横ばい
- 社長は集客不足だと思っていた
しかし数字を見ると、
- 件数は増えている
- 単価が下がっていた
問題は「集客」ではなかった
- 値引き
- 無料対応
- 追加作業
が、
知らないうちに単価を削っていました。
点検ポイント②:コストは「変わるか/変わらないか」
次に見るのはコストです。
ここで重要なのは、
固定費か、変動費か
よくある誤解
- 人件費=固定費
ではありません。
- 案件が増えると増える人件費
→ 実質、変動費
モデルの強さは「変動費率」に出る
ビジネスモデルを数字で点検するとき、
必ず見てほしいのがこれです。
売上が1円増えたとき、
何円残るか
これが低いモデルは…
- 忙しくなるほど苦しい
- 売上が伸びても楽にならない
ケーススタディ③:成長すると苦しくなるモデル
ある制作会社。
- 売上増
- でも利益は増えない
原因は、
- 売上増=人件費増
- 外注費も比例
数字で見た瞬間、社長が一言
「これ、
増えちゃいけないやつだ…」
点検ポイント③:社長の時間は、どこで消えているか
数字に出にくいですが、
非常に重要です。
チェックしてみてください
- 社長が関与しないと回らない売上は?
- 社長の判断待ちの業務は?
実はここも、モデルの一部
社長の時間を大量消費するモデルは、
数字以上に、経営を圧迫する
点検ポイント④:「良い売上」と「危険な売上」
すべての売上が、
等しく良いわけではありません。
危険な売上の特徴
- 利益が薄い
- クレームが多い
- 社内の負荷が高い
数字で見ると…
- 利益額が少ない
- 手離れが悪い
数字で点検すると「やめる判断」ができる
これが最大の効用です。
- 感情ではなく
- 勇気でもなく
「数字だから、やめられる」
ビジネスモデル点検は“定期健康診断”
一度やって終わり、ではありません。
- 半年に一度
- 最低でも年に一度
なぜか?
- 市場は変わる
- 人は変わる
- コスト構造も変わる
点検しないモデルは、静かに壊れる
- 気づいた時には忙しすぎる
- 社長が疲弊している
- 利益が残らない
これは、
能力の問題ではなく、
点検不足の問題
です。
管理会計は、社長の味方
ここで改めて言います。
管理会計は、
- 税務のため
- 銀行のため
ではありません。
社長が、
楽に・長く経営するための道具
です。
頑張り続ける経営より、
点検できる経営を。
それが、
本当に強い会社の条件です。
今日の一言
ビジネスモデルは、
考えるものではない。
数字で点検し、
直し続けるものだ。
