─ 勘違いから抜け出すポジショニング思考|第2回目(全4回) ─
「ポジショニングはうまくいっている“はず”なのに…」
「うちは価格競争はしていない」
「他社とは違う立ち位置を取れている」
「お客さんからの評価も悪くない」
それなのに──
- 思ったほど利益が残らない
- 忙しい割に、手元に何も残らない
- 売上が伸びるほど、社内が疲弊する
こんな状態に心当たりはないでしょうか。
実はこの状態、かなり多くの中小企業がハマっています。
そして原因はシンプルです。
ポジショニングと利益構造を、別物として考えてしまっていること。
今回の記事では、
- なぜポジショニングだけ考えてもうまくいかないのか
- なぜ「いい立ち位置」なのに苦しくなるのか
- 利益が残るポジションの共通点は何か
を、なるべく噛み砕いて整理していきます。
そもそもポジショニングとは「売り方の話」ではない
まず大前提から確認しましょう。
ポジショニングというと、
- 見せ方
- 打ち出し方
- キャッチコピー
の話だと思われがちです。
でも本質は違います。
ポジショニングとは、「どんな前提でお金が動くか」を決める行為です。
- 誰が
- 何に対して
- どんな理由で
- いくら払うのか
この前提が決まらない限り、 利益構造は安定しません。
にもかかわらず、
ポジショニングはマーケティングの話
利益は会計・経営の話
と切り分けて考えてしまう。
ここに最初の落とし穴があります。
利益構造は「後から考えるもの」ではない
よくある順番はこうです。
- まずポジショニングを考える
- 次に商品・サービスを作る
- 売れた後で、利益を確認する
一見、自然な流れに見えます。
しかしこの順番だと、 利益が「結果任せ」になります。
- 思ったより原価が高かった
- 工数がかかりすぎた
- 想定より安くしか売れなかった
こうした問題は、 売り始めてから初めて見えてきます。
そして多くの場合、
もう走り出してしまったから、変えられない
となる。
つまり、 利益が残らない構造のまま固定されるのです。
ケース①:「専門特化」したのに苦しい会社
ある専門サービス業の例です。
- 業界を絞り
- ターゲットも明確
- メッセージも分かりやすい
一見、ポジショニングは成功していました。
しかし実態は、
- 単価はそれほど高くない
- 1件あたりの工数が重い
- 人が増えないと売上が伸びない
結果、社長はこう言いました。
立ち位置は悪くないと思うんですが、 どうも商売として楽にならないんです
原因は何だったのか。
そのポジションで、どんな利益構造になるかを考えていなかったのです。
- 何件売れば黒字か
- どこが利益の源泉か
- どこから赤字になるか
これを決めないまま、 「立ち位置」だけを作ってしまった。
ポジショニングは「利益の出方」を規定する
ここで重要な視点を一つ。
ポジショニングは、利益率を後から調整するためのものではありません。
むしろ逆です。
どんな利益構造になるかは、
どんなポジションを取るかでほぼ決まる
例えば──
- 手間がかかる仕事を選ぶポジション
- 個別対応前提のポジション
- 属人性が高いポジション
これらは、 どれだけ高単価でも、 利益が伸びにくい構造になりがちです。
逆に、
- 判断コストを下げる
- 選択肢を減らす
- 標準化できる
こうした前提を含むポジションは、 自然と利益が残りやすくなります。
「いいポジション=儲かる」ではない
ここで、もう一つよくある誤解を整理しておきましょう。
それは、
いいポジションを取れれば、 自然と儲かるようになる
という考えです。
実際には、
- 評価は高い
- 感謝もされる
- でも利益は薄い
というポジションは山ほどあります。
なぜか。
そのポジションで、誰がどのタイミングで、
どんな理由でお金を払うのかが曖昧だからです。
評価と支払いは、別物です。
ケース②:利益構造から逆算したポジション
別の会社の例です。
この会社は、ポジションを考える際に、 最初にこんな問いを立てました。
- 月に何件取れると楽か
- 1件あたり、最低いくら必要か
- どの作業は絶対にやらないか
この条件を満たす形でしか、 ポジションを考えなかったのです。
結果、
- ターゲットはかなり限定的
- できないことも多い
- 誰にでも勧められる商売ではない
でも、
- 単価はブレない
- 工数が安定する
- 利益が読める
という状態を作ることができました。
ここでやっていたのは、
ポジショニングと利益構造を同時に設計することです。
なぜ切り離して考えてしまうのか
この勘違いが起きやすい理由も整理しておきましょう。
- ポジショニングは言葉で考えやすい
- 利益構造は数字が出てくる
- 分野が違うように見える
でも実際は、
言葉で決めた前提が、数字として現れているだけです。
切り離せば切り離すほど、
- 立派な言葉
- 苦しい現場
というズレが生まれます。
ポジショニングとは「覚悟の設計」である
最後に、一番大事な話をします。
ポジショニングを決めるというのは、
- 何をやるか
- 何を捨てるか
を決める行為です。
そしてそれは同時に、
- どこで利益を取るか
- どこでは取らないか
を決めることでもあります。
この2つは、 切り離そうとしても切り離せません。
まとめ:立ち位置と儲け方は、同じ設計図にある
ポジショニングは、
- 見せ方の話ではなく
- 売り方の話でもなく
お金の流れをどう作るかの話です。
だからこそ、
- 利益構造を考えないポジショニングは危うい
- ポジショニングを無視した利益設計も成り立たない
この前提を、 まずはしっかり押さえておく必要があります。
次回は、
「なぜ価格競争に戻ってしまう会社には共通点があるのか」
を掘り下げていきます。
今日の一言
ポジショニングとは、
“どう儲けるか”を先に決める行為である。
