
――戦わない市場を決めるという戦略・第4回――
マーケティング=集客、だと思っていませんか?
「マーケティングって何ですか?」
と聞くと、多くの社長がこう答えます。
- 集客のこと
- お客さんを増やすこと
- 広告やSNSのこと
間違いではありません。
でも、半分しか合っていません。
なぜなら、
集めることだけを目的にしたマーケティングは、
会社を強くしない
からです。
なぜ“集客を頑張るほど”苦しくなるのか
こんな経験はないでしょうか。
- 問い合わせは増えた
- でも、成約率が低い
- 値引き交渉が多い
- クレームが増えた
- 社内が疲弊している
社長は言います。
「もっと集客しないとダメですよね?」
でも実は、
問題は集客量ではありません。
問題は「誰でも来てしまう」こと
集客に偏ったマーケティングは、
- とにかく間口を広げる
- 誰にでも分かる言葉を使う
- 無難で当たり障りない表現になる
結果として、
“誰にでも来てほしい会社”
になります。
するとどうなるか。
- 合わないお客さんも来る
- 価値が伝わらない
- 比較・値引きが起きる
これは偶然ではありません。
マーケティングの本当の役割
ここで、一度立ち止まりましょう。
マーケティングの本質は何か。
マーケティングとは、
「来てほしい人を明確にし、
来なくていい人を決めること」
です。
言い換えると、
選別
です。
「選別」と聞くと、怖く感じる理由
「選別」と言うと、
- お客さんを拒む
- 門前払いする
- 冷たい
そんなイメージを持つかもしれません。
でも、現実は逆です。
選別しないから、
お互いに不幸になる
のです。
ケーススタディ①:選別しなかった結果、疲弊した会社
ある制作系の会社。
- 「どんな仕事でもやります」
- 「まずはご相談ください」
を掲げていました。
確かに問い合わせは多い。
でも、
- 要望がバラバラ
- 価格感が合わない
- 修正が多い
社長は常に現場の火消し。
「忙しいのに、全然楽にならない」
これは、
マーケティングで選別していない
典型例です。
マーケティングは「ふるい」にかける行為
本来、マーケティングは、
- 価値観
- 考え方
- 前提条件
を、事前に伝える行為です。
その結果、
- 合う人だけが残り
- 合わない人は自然と離れる
これが健全な状態です。
ケーススタディ②:選別したら、集客が“楽”になった例
別の会社は、真逆のことをしました。
- 対応できない案件を明記
- 価格の考え方を明示
- 合わない人への注意書き
一見、
「集客に不利そう」です。
ところが、
- 問い合わせ数は減った
- でも成約率は上がった
- トラブルが激減した
社長はこう言います。
「説明しなくていいことが増えた」
これこそ、
選別としてのマーケティングです。
なぜ小さな会社ほど「選別」が必要なのか
理由はシンプルです。
リソースが限られているから
です。
- 人も
- 時間も
- お金も
限られている中で、
誰にでも対応しようとする
のは、
自ら首を絞める行為です。
集客は「戦略の結果」であって、目的ではない
マーケティングを、
- 集客手段
- 数を増やす技術
だと思うと、
いつまでも追いかけ続ける構造
になります。
一方で、
- 戦う市場
- 提供する価値
- 合う顧客像
が決まっていると、
集客は“自然に起きる現象”
になります。
「来なくていい人」を決める勇気
マーケティングで一番難しいのは、
線を引くこと
です。
- ここまではやる
- ここからはやらない
- この価値が分からない人とは組まない
この線引きが、
- 戦略であり
- マーケティングであり
- 経営判断
なのです。
管理会計とも深くつながっている
選別できていない会社では、
- 利益率が安定しない
- 原価管理が難しい
- 改善が属人化する
なぜなら、
案件の性質がバラバラ
だから。
一方、選別された顧客・仕事は、
- 数字が揃う
- 判断基準が明確になる
- 改善が再現できる
つまり、
数字で経営できる状態
になります。
マーケティングは「断るため」にある
ここまでを一言で言うなら、
マーケティングは、
断るための準備
です。
- 誰を断るか
- 何を断るか
- どんな条件を断るか
を決めることで、
残った仕事が、会社を強くする
のです。
「集める」から「選ぶ」へ
このシリーズのテーマに戻りましょう。
戦わない市場を決める
とは、
- 集めることをやめ
- 選ぶことを始める
ということ。
マーケティングは、
戦場を広げるための道具ではなく、
戦場を狭めるための道具
なのです。
今日の一言
マーケティングとは、
人を集める技術ではなく、
一緒に戦う相手を選ぶ技術である。
選別できた瞬間、競争は静かに消えていく。
