
数字は見ている。でも「使って」はいない
「毎月、試算表は確認しています」
「数字は一応、頭に入っています」
そう話す社長は少なくありません。
それでも、
- 判断に迷う
- 決断が遅れる
- 不安が消えない
という状態が続いているとしたら、
それは数字の見方ではなく、
数字の“置き場所”が決まっていない
可能性が高いです。
数字は、
見ているだけでは意味を持ちません。
判断に直結する形で
並べ直されているか
ここが、
「管理できる社長」と
「眺めているだけの社長」の
決定的な分かれ目です。
利益管理シートとは「社長の頭の中」を紙に出すこと
今回作る
「利益管理シート」は、
- 会計ソフト
- 試算表
- 管理会計資料
とは、まったく別物です。
目的は一つ。
社長が考えている順番で、
数字を並べ直すこと
です。
つまり、
利益管理シート =
社長の意思決定プロセスの見える化
と考えてください。
なぜ“自社用”でなければ意味がないのか
世の中には、
- 立派な管理表
- 高機能なダッシュボード
- テンプレート資料
が、たくさんあります。
それでも続かない理由は、
とてもシンプルです。
社長の判断の癖に
合っていない
からです。
- 見たい順番が違う
- 気になるポイントが違う
- 判断基準が違う
だから今回のワークでは、
正解のフォーマット
を作りません。
作るのは、
あなた専用の1枚です。
このシートで「やらないこと」を先に決める
まず、大事な前提から。
この利益管理シートでは、
- 細かい科目管理
- 原因分析の深掘り
- 完璧な数字
は、やりません。
このシートの役割は、
今月、どう判断するかを
10分で決めること
です。
だから、
- 細かすぎる数字
- 後から分かる数字
は、
最初から載せません。
シート全体像|たった3ブロックで十分
完成形は、
とてもシンプルです。
紙1枚、または
Excel1シートに
次の3ブロックを並べます。
ブロック①|今月の「原資」
最初に置くのは、
今月の粗利です。
ここには、
- 売上
- 原価
を細かく書く必要はありません。
今月、使えるお金はいくらか
これが一目で分かれば十分です。
書き方の例:
- 今月の粗利:○○円
- 先月比:+/-
これだけで構いません。
ケース①|粗利を先頭に置いただけで変わった社長
ある社長は、
ずっと売上を一番上に置いていました。
それを、
一番上を「粗利」に変えた
だけで、
- 値引き判断
- 外注判断
- 仕事の受け方
が、
驚くほど安定しました。
理由は簡単です。
「残るかどうか」が
最初に目に入るから
です。
ブロック②|毎月の「覚悟」
次に置くのは、
固定費です。
ここも、
細かく分ける必要はありません。
重要なのは、
毎月、必ず出ていく合計
です。
書き方の例:
- 毎月の固定費合計:○○円
- 主な内訳:人件費/家賃/その他
これで十分です。
固定費は「管理」より「腹落ち」が先
固定費を見ると、
- 下げなきゃ
- 無駄じゃないか
と考えがちですが、
ここでは考えません。
まずは、
これだけの金額を
毎月背負っている
と、
社長自身が納得すること。
これができて初めて、
判断が安定します。
ブロック③|分岐点との「距離」
最後に置くのが、
分岐点との距離です。
ここも、
精密な計算は不要です。
- 今月は超えている
- ほぼトントン
- まだ足りない
この3段階で十分です。
書き方の例:
- 分岐点との差:+○○/-○○
- 判定:超えている/未達
この順番に並べる理由
並び順には、
はっきりした意図があります。
- 使える原資(粗利)
- 背負っている重さ(固定費)
- 今の位置(分岐点)
この順番は、
社長が頭の中で
無意識にやっている判断
そのものです。
これを紙の上に出すことで、
- 判断が速くなる
- ブレにくくなる
- 説明がしやすくなる
という効果が出ます。
ワーク①|まずは「空のシート」を作る
ここで、
実際に手を動かしてください。
ノートでも、
Excelでも構いません。
1枚に、
次の3つの枠を書きます。
- 今月の粗利
- 毎月の固定費
- 分岐点との距離
中身は、
まだ書かなくて大丈夫です。
ワーク②|数字は「ざっくり」で埋める
次に、
分かる範囲で数字を入れます。
- 正確でなくていい
- 多少ズレていてもいい
重要なのは、
今の判断に使えるか
です。
この段階で、
「ちゃんとした数字を出さなきゃ」
と思ったら、
それはやり過ぎです。
ケース②|完璧を目指して止まっていた社長
ある社長は、
「数字が揃ってから作ります」
と言って、
ずっと進みませんでした。
一度、
「7割の精度でいいから書きましょう」
と促すと、
その日のうちに完成。
結果、
- 毎月10分で確認
- 判断が早くなる
- 不安が減る
という変化が起きました。
ワーク③|このシートで「何を決めるか」を書く
最後に、
とても大事な仕上げです。
シートの下に、
こう書いてください。
このシートを見て、
毎月決めること:
例えば、
- 値引きするか
- 人を増やすか
- 投資を止めるか
ここが書けていないと、
シートは
「眺めるだけ」で終わります。
利益管理シートが機能し始める瞬間
このシートが
本当に効き始めるのは、
誰かに説明するとき
です。
- 銀行
- 幹部
- パートナー
に、
「今の会社の状態」を
この1枚で説明できるようになります。
それはつまり、
社長自身が
会社を構造で理解している
ということです。
数字に振り回されなくなる理由
このシートを使い始めると、
- 一喜一憂が減る
- 月末の不安が減る
- 判断に自信が持てる
ようになります。
なぜなら、
見る数字が
変わらないから
です。
毎月、
同じ順番で、
同じ数字を見る。
それだけで、
経営は驚くほど安定します。
次回予告|「管理できる社長」の最終形
次回はいよいよ最終回。
このシートを使って、
どうやって
“決め続ける社長”になるのか
を整理します。
利益管理は、
作って終わりではありません。
使い続けてこそ、
武器になる
その仕上げをお伝えします。
今日の一言
利益は、計算するものではない。
置き場所を決めて、毎月向き合うもの。
