
――利益は、勝手には生まれない・第2回――
「うちより売上が少ないのに、なぜあの会社は余裕なのか?」
経営者同士で話していると、
こんな場面に出くわしたことはありませんか?
・あの会社、売上はうちより小さい
・社員数も、似たようなもの
・業種も、ほぼ同じ
それなのに――
なぜか、あちらの方が余裕そう。
一方で自社は、
・売上を追い続けている
・忙しさは増す一方
・でも、数字の不安は消えない
この差は、
「努力」や「根性」の差ではありません。
決定的な違いは、利益の“考え方”にあります。
利益が出る会社は「先に決めている」
まず、結論から。
利益が出る会社は、利益を「後で確認」しません。
利益が出ない会社は、利益を「最後に祈ります」。
厳しい言い方ですが、
実態はこれに近い。
利益が出ない会社の思考パターン
利益が出にくい会社では、
経営判断がこう流れます。
- まず売上を作る
- 仕事が増える
- 費用も増える
- 最後に「利益、残ってるかな?」と確認
これは、
利益が“結果任せ”になっている状態
です。
利益が出る会社の思考パターン
一方、利益が出る会社は逆です。
- まず「どれくらい利益を残したいか」を決める
- そのために使える費用を決める
- その枠の中で売上を作る
つまり、
利益が、経営の出発点
になっています。
同じ売上1,000万円でも、天国と地獄
ここで、分かりやすい例を出しましょう。
A社・B社の条件
・売上:月1,000万円
・業種:同じ
・社員数:同じ
数字だけ見れば、
ほぼ同じ会社です。
A社(利益が出ない会社)
・固定費:600万円
・変動費:350万円
結果、
利益は 50万円。
しかも、
・少し売上が落ちると赤字
・値引きすると一気に苦しくなる
・社長は常に売上プレッシャー
B社(利益が出る会社)
・固定費:450万円
・変動費:350万円
結果、
利益は 200万円。
・多少売上が落ちても耐えられる
・社長が落ち着いて判断できる
・攻めと守りの選択肢がある
違いは「頑張り」ではない
A社とB社。
どちらの社長が、
より努力しているでしょうか?
正直、
どちらも必死です。
違うのは、
利益が出る構造を、先に作っているかどうか
それだけです。
利益が出ない会社は「売上で全部解決しようとする」
利益が出ない会社ほど、
こう考えがちです。
・売上さえ増えれば
・忙しくなれば
・案件が取れれば
でも、
売上は万能薬ではありません。
売上を増やすと、
・変動費も増える
・固定費を上げたくなる
・現場が疲弊する
結果、
売上が増えても、利益率が下がる
という現象が起きます。
利益が出る会社は「限界」を知っている
一方、利益が出る会社は、
必ずこの感覚を持っています。
・ここから先は、儲からない
・この仕事は、忙しいだけ
・この売上は、危ない
つまり、
「やらない売上」を知っている
のです。
ケーススタディ:値引きを続けた会社の末路
ある制作会社の話です。
・受注を増やすために値引き
・最初は「今だけ」のつもり
・でも、その価格が基準になる
結果どうなったか。
・売上は増えた
・案件数も増えた
・でも、社員は疲弊
・社長は忙殺
数字を見ると、
売上:右肩上がり
利益:横ばい〜減少
典型的な、
**「儲からない成長」**です。
利益が出る会社は「数字の問い」が違う
利益が出る会社の社長は、
こんな問いを立てています。
・この売上は、いくら利益を生む?
・この仕事は、固定費回収に貢献している?
・忙しさに見合う数字か?
利益が出ない会社では、
・売上はいくらか
・先月より増えたか
・忙しいかどうか
この差は、
時間が経つほど大きくなります。
「黒字」と「安心」は、別物
もう一つ、重要なポイント。
黒字=安心ではない
という事実です。
・黒字でも、ギリギリ
・黒字でも、余裕がない
・黒字でも、次が怖い
こういう会社は、
利益が「薄すぎる」
固定費を支払ったあと、
ほとんど残らない。
利益が出る会社は「余白」を作る
利益が出る会社は、
・想定より売上が落ちても
・急な出費があっても
・チャンスが来ても
対応できる
余白があります。
この余白こそが、
・判断の余裕
・心の余裕
・経営の自由
を生みます。
利益は、管理しないと逃げる
ここまでの話をまとめると、
利益が出る会社と出ない会社の違いは、
利益を「管理しているか」「放置しているか」
です。
・売上だけ見ている
・忙しさで判断している
これは、
利益を放置している状態。
次回につながる一つの疑問
ここで、
多くの社長がこう思います。
「じゃあ、
どうやって利益を管理すればいいんですか?」
安心してください。
そのための道具が、
管理会計です。
でも、いきなり難しい話はしません。
この基礎編は、
「数字が苦手な社長」のために書いています。
分からなくていい。
完璧でなくていい。
ただ一つ、
利益は、偶然ではなく設計できる
この感覚だけ、
持ち帰ってください。
今日の一言
利益が出る会社は、
「売上の後」に利益を考えない。
「売上の前」に、利益を決めている。
