②強みが分からない社長へ(STEP2)


― 強みは「探すもの」ではなく、「構造の中から浮かび上がるもの」―

「うちの強みって、何なんでしょうか?」

事業構造転換の話を進めていくと、
社長から必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。

「結局、うちの強みが分からなくて…」

・技術はあるけど、他社も持っている
・実績はあるけど、特別とは言えない
・一生懸命やっているけど、どこも同じ気がする

この悩みを持っていない社長の方が、むしろ少数派です。

そして、多くの社長はここで立ち止まります。

「強みが分からない以上、
 提供価値なんて決められないですよね?」

ですが、ここではっきり言います。

強みが分からないのは、能力不足ではありません。
見方を間違えているだけです。

「強み=キラキラした特徴」という呪い

まず、社長の頭の中にある
“強みのイメージ”を疑ってみましょう

多くの社長は、無意識のうちにこう考えています。

  • 圧倒的な技術力
  • 業界トップクラスの実績
  • 誰にも真似できない独自性

だから、

「そんな大層なもの、うちにはない」
となる。

ですが、現実のビジネスで選ばれている理由は、
もっと地味で、もっと現実的です。

ケース①「強みがない」と言い切っていた社長の正体

ある社長は、初めての打ち合わせでこう言いました。

「正直、強みはないです。
 普通の会社です」

話を聞いていくと、こんなことが分かりました。

  • 問い合わせ対応が異常に早い
  • 専門用語を使わず説明する
  • 導入後のフォローが丁寧

本人にとっては、
「当たり前すぎて、価値だと思っていなかった」
ことばかり。

しかし、お客さん側に聞くと、

「説明が分かりやすかったから」
「不安がなく進められたから」

と、明確に選ばれていました。

社長は最後に、こう言いました。

「そんな理由で選ばれてるなんて、思いませんでした」

これが、
強みが見えなくなる典型的な構造です。

強みは「社内」ではなく「顧客側」にある

ここで、視点をひっくり返します。

強みとは、

  • 自分たちが誇れること
    ではなく
  • お客さんが理由として挙げること

です。

つまり、
強みは社内を見ていても見つかりません

見るべきは、

  • なぜ依頼されたのか
  • なぜ続いているのか
  • なぜ他社に行かなかったのか

この「理由」です。

「できること」と「選ばれる理由」は別物

社長がよく混同しているのが、ここです。

  • できること(スキル・業務)
  • 選ばれる理由(価値)

例えば、

×「システム開発ができます」
×「設計から施工まで一貫対応」

これらはできることであって、
それ自体が強みとは限りません。

一方で、

○「何を優先すべきか整理してくれる」
○「判断の不安を減らしてくれる」

これは、
お客さんに起きた変化です。

強みとは、
この“変化”の部分に宿ります。

なぜ社長ほど、自社の強みが見えなくなるのか

ここも重要なポイントです。

社長は、

  • 全体を見ている
  • 日常業務に深く関わっている
  • 苦労も失敗も知っている

だからこそ、

「こんなの、大したことじゃない」
と感じやすい。

でも、お客さんは違います。

  • 比較対象がある
  • 過去の失敗体験がある
  • 不安を抱えている

その中で、
あなたの会社を選んでいます。

評価の基準が、そもそも違うのです。

ケース② 強みを「作ろう」として迷子になった会社

別の会社では、
強みを作ろうとして、迷走しました。

  • 新しいサービスを作る
  • キャッチコピーを考える
  • 無理に差別化しようとする

結果、

  • 現場は混乱
  • 説明は分かりにくく
  • 余計に売れなくなる

後から分かったのは、

もともと選ばれていた理由を、
自分たちで壊していた

という事実でした。

強みは、
無理に足すものではありません。

既にあるものを、正しく拾い直す
それだけで十分なことが多い
のです。

強みが見えない会社に共通する3つの状態

ここで、チェックしてみてください。

① お客さんの声を記録していない

感想・理由・不満。
これが残っていないと、強みは見えません。

② 「どこでも同じ」と思い込んでいる

他社の中身を、本当に知っていますか?

③ 社内基準で価値を判断している

「すごいかどうか」ではなく、
「助かるかどうか」です。

強みは「市場とセット」で初めて意味を持つ

ここで、STEP1とのつながりが出てきます。

強みは、
どの市場で語るか
によって、価値が変わります。

  • 大企業向けでは弱み
  • 小規模事業者向けでは強み

ということは、普通に起こります。

だから、

「強みが分からない」
のではなく、

「どの市場で見るかが決まっていない」
だけの場合も多い
のです。

強みを言語化するための3つの問い

ここで、実際に使える問いを出します。

  1. なぜ最初に声をかけてもらえたか?
  2. なぜ継続してくれているか?
  3. もし自社がなくなったら、何に困るか?

この答えの中に、
強みのタネが必ずあります。

派手である必要はありません。
再現性があれば、それで十分です。

強みが決まると、社長は楽になる

強みを言語化できると、
社長の仕事は確実に変わります。

  • 説明が短くなる
  • 価格の話がしやすくなる
  • 判断基準が増える

そして何より、

「これでいいのか?」という迷いが減る。

これは、
事業構造転換において、
非常に大きな変化です。

強みとは「自慢」ではない

最後に、大事なことを一つ。

強みとは、

  • 自慢するための言葉
    ではなく
  • 判断を揃えるための言葉

です。

  • どの仕事を受けるか
  • どこに時間を使うか
  • 何をやらないか

その基準になります。

今日の一言

強みは探すものではない。
お客さんの中に、すでに答えはある。

次回は、
「値付けが怖い社長へ(STEP3)」
お金の話に進みます。


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