
― 忙しい社長ほど、会社は止まり続ける ―
「自分がやらないと回らないんです」
事業構造転換プログラムのSTEP4、
業務構造・役割の話に入ると、
社長から必ず出てくる言葉があります。
「いや、分かってはいるんですけど…
結局、自分がやらないと回らないんですよ」
- 任せる人がいない
- 教える時間がない
- ミスされたら余計に手間が増える
だから今日も、
- 現場に出て
- 判断をして
- トラブルを処理して
- 夜に事務作業をする
気づけば、
一番忙しいのは社長。
でも、ここで一つ、
かなり厳しいことを言います。
忙しさを手放せない限り、
事業構造転換は絶対に完成しません。
「忙しい=頑張っている」という危険な勘違い
多くの社長は、無意識にこう考えています。
- 忙しい自分=必要とされている
- 現場にいる自分=価値を生んでいる
- 手を動かしている自分=仕事をしている
確かに、
創業期や立ち上げ期では正解です。
ですが、
構造転換フェーズでは逆効果になります。
なぜなら、
- 社長が忙しい
= - 社長しかできない仕事が進んでいない
という状態だからです。
ケース① 社長が一番働いている会社の末路
ある会社では、
社長が朝から晩まで現場に立っていました。
- 営業もやる
- 作業もやる
- クレーム対応もやる
社員から見ると、
「頼れる社長」です。
しかし、数年後。
- 社員は育たない
- 判断はすべて社長待ち
- 社長が休むと業務が止まる
社長自身が、こう言いました。
「自分が一番のボトルネックだったんですね…」
これは、
能力の問題ではありません。
役割設計の問題です。
忙しさの正体は「仕事量」ではない
ここで、視点を変えましょう。
社長が忙しい理由は、
- 仕事が多いから
ではありません。
多くの場合、
「判断が集まりすぎている」
これが正体です。
- これ、やっていいですか?
- どっちが優先ですか?
- この場合、どうしますか?
すべて、社長に聞かれる。
つまり、
社長=ルールブック
になっている状態。
これでは、
いくら人が増えても、
社長は楽になりません。
忙しさを生む3つの構造的原因
社長の忙しさは、
個人の性格ではなく、
構造で説明できます。
① 判断基準が言語化されていない
「その都度、社長に聞く」
という構造。
② 役割の境界線が曖昧
誰が決めて、
誰が実行するのか不明。
③ 「とりあえず社長」が常態化
責任の所在が、
無意識に社長に集まる。
この3つが揃うと、
社長は永遠に忙しいままです。
忙しい社長ほど、実は「優しい」
ここは、あえて擁護します。
忙しさを手放せない社長は、
たいてい優しい。
- 失敗させたくない
- 困らせたくない
- 自分がやった方が早い
だから、
つい手を出す。
でも、その優しさは、
社員の成長機会を奪い、
社長自身の未来も奪う
ことになります。
ケース② 任せた途端、業績が伸びた会社
別の会社では、
社長が思い切って、
「現場判断」を手放しました。
最初は、
- ミスが出る
- クレームも出る
- 正直、不安だらけ
それでも、
判断基準だけは明確に伝えました。
- 何を優先するか
- どこまでは自由か
- どこからは相談か
半年後、
- 社長の残業は激減
- 社員の動きは加速
- 売上は微増、利益は大幅改善
社長はこう言いました。
「自分が抜けたら、
会社がちゃんと回り始めました」
「任せる」と「放置」は違う
ここで、よくある誤解を解きます。
- 任せる
≠ - 放置する
任せるとは、
- 判断基準を渡す
- 役割を決める
- 振り返りをする
という、
設計行為です。
「勝手にやって」
ではありません。
社長がやるべき仕事は、たった3つ
STEP4で、
社長の仕事は一気に絞られます。
それは、この3つです。
- 方向を決める
- 判断基準を決める
- 例外だけを引き取る
これ以外は、
基本的に社長の仕事ではありません。
ここで、多くの社長が戸惑います。
「そんなに減らして、大丈夫ですか?」
大丈夫です。
むしろ、それが正常です。
忙しさを手放せない本当の理由
さらに深掘りします。
社長が忙しさを手放せない理由は、
能力でも責任感でもありません。
「社長である実感」
を、忙しさで保っているケースが多い。
- 現場にいないと不安
- 自分が必要とされたい
- 価値を証明したい
これは、とても人間的です。
でも、
会社を次のステージに進めるには、
役割としての社長
に切り替える必要があります。
忙しい社長の会社は、なぜ止まるのか
社長が忙しい会社では、
- 新しいことを考える時間がない
- 振り返りができない
- 仕組み化が進まない
結果、
ずっと同じ問題を、
ずっと同じやり方で解決し続ける。
これでは、
成長も転換も起きません。
STEP4は「楽になる話」ではない
誤解してほしくない点があります。
STEP4は、
- 楽をする話
ではありません。
役割を変える話です。
- 手を動かす人
から - 仕組みを動かす人
へ。
ここを乗り越えられるかどうかで、
会社の未来は大きく分かれます。
忙しさを手放した先に見える景色
忙しさを手放すと、
社長には次の時間が生まれます。
- 考える時間
- 見る時間
- 決める時間
これは、
現場では絶対に生まれない価値です。
そして何より、
「社長がいなくても回る」
という状態が見え始めます。
これは、
不安ではなく、
自由です。
事業構造転換のゴールは「社長が暇になること」
誤解を恐れず言います。
事業構造転換のゴールは、
社長が暇になること。
暇だからこそ、
- 次の一手を考えられる
- 市場を見られる
- 覚悟を決められる
忙しさに縛られている限り、
社長は「今」から抜け出せません。
今日の一言
社長が一番忙しい会社は、
社長が一番いなくていい構造になっていない。
ここまでが、
事業構造転換で
社長が必ず迷う4つのポイントです。
迷いは、
間違いではありません。
構造を見直す合図です。
