
――DXが、社長の意思決定をどう変えるか・第2回――
意思決定の速度は、データ環境で決まる
社長が経営判断を下すスピードは、単に社長自身の能力だけで決まるものではありません。
実は、データの置き場や整理のされ方が、意思決定の速度を大きく左右します。
例えば、次のような会社の社長を想像してください。
- 売上データは営業部にある
- 原価データは経理部にある
- 在庫データは倉庫の手書き帳簿
- 顧客情報は個人PCのExcelに散乱
こうした環境では、数字を集めるだけで数日かかります。
意思決定は必然的に遅くなり、現場の改善アクションも遅れるのです。
ケーススタディ1:製造業A社の苦い経験
製造業A社では、社長が毎月の粗利を把握するまでに3日を要していました。
- 営業部から売上データ
- 経理部から原価データ
- 生産管理から作業工数データ
これらを集計し、Excelで計算して報告書を作成する…
結果、**「意思決定はいつも後手、改善は翌月」**という状況に陥っていました。
社長は「データは揃っているはずなのに、判断に使えない」と悩み、戦略的意思決定の時間が奪われていたのです。
なぜデータの置き場が悪いと意思決定が遅くなるのか
意思決定が遅くなる根本原因は次の3つです。
1. データが分散している
- 営業、経理、生産、在庫など部署ごとにバラバラ
- 社長が一度に全体を把握できない
2. データの更新タイミングがバラバラ
- 営業は日報で更新
- 経理は月次締めで更新
- 生産管理は週報
→ 数字の鮮度が揃わず、判断材料が古くなる
3. データの形式が統一されていない
- Excel、手書き帳簿、クラウドツールなど形式が違う
- 集計のたびに変換作業が発生
- ミスも増え、確認作業に時間を取られる
ケーススタディ2:サービス業B社のDX改革
B社は、社長が日々の売上や顧客情報を把握するのに苦労していました。
- データは営業担当者のPCに散在
- 集計には毎週2日かかる
- 判断が遅れ、キャンペーン施策の効果が半減
DX導入後
- 全営業データをクラウドで一元化
- 売上、受注、顧客情報はリアルタイムで集計
- 社長は毎朝ダッシュボードを確認
- 問題点の特定 → 現場への改善指示 → 即日対応
結果、意思決定スピードは週単位から日単位に短縮され、キャンペーン効果も改善されました。
データの置き場を整える3つのステップ
意思決定が速い会社は、必ずデータの置き場が整っています。
具体的には次の3ステップです。
ステップ1:データの「一元化」
- 部署ごとに散らばるデータを集約
- ERPやクラウドツールでリアルタイム可視化
ステップ2:数字を「判断に使える形」に整理
- KPIごとに必要なデータだけを抽出
- 生データではなく、意思決定に直結する形に加工
ステップ3:更新ルールを決める
- 入力タイミング、形式、担当者を明確化
- 数字の鮮度を担保し、即判断可能にする
意思決定速度が上がると社長の時間価値が変わる
データの置き場を整えると、社長は次のような恩恵を受けます。
- 確認作業に時間を取られない
- 意思決定が日次・週次単位で可能になる
- 戦略思考や新規事業検討に集中できる
- 現場が数字を基に自律的に動くようになる
ケーススタディ3:小売業C社
- DXで売上・在庫・粗利を一元化
- 社長は毎朝10分で数字を把握
- 現場は即日改善策を実行
- 社長は戦略に時間を集中 → 売上前年比115%
DXの本質は単なるツール導入ではなく、社長が即判断できるデータ環境を作ることにあります。
データを整えることが、意思決定の速度と精度を決めるのです。
今日の一言
意思決定が遅い会社は、必ずデータの置き場が悪い。
データの一元化と整理、更新ルールを整えることで、社長の意思決定は圧倒的に速くなる。
