②損益計算書は“成績表”ではなく“商売の設計図”


― 儲けは偶然ではなく構造で決まる ―

売上は伸びているのに、なぜか楽にならない

こんな感覚、ありませんか?

  • 売上は去年より上がっている
  • 仕事は忙しい
  • それなのに、なぜか気持ちは楽にならない

むしろ、

「これ以上忙しくなるのは、正直しんどい」
「売上が増えても、手応えがない」

もしそう感じているなら、
問題は努力不足ではありません。

商売の“設計”が、儲かる形になっていない可能性
が高いだけです。

今回のテーマは、
損益計算書(P/L)を“成績表”ではなく“設計図”として見る
という視点です。


多くの社長が、P/Lを「結果」としてしか見ていない

まず、よくあるP/Lの見方から整理しましょう。

  • 売上はいくらだったか
  • 利益は出たか
  • 黒字か、赤字か

もちろん、これは大事です。
でも、これは結果の確認でしかありません。

本来、社長がP/Lを見る意味は、ここにあります。

「この商売の形で、儲かるようにできているか?」

P/Lは、
あなたの商売がどんな設計思想で作られているか
正直に映し出します。


売上が上がっても楽にならない理由

なぜ、売上が上がっても楽にならない会社が生まれるのか。

理由はシンプルです。

売上と利益の間に、ブラックボックスがあるから

売上は増えている。
でも、

  • 原価が増えすぎている
  • 固定費が先行している
  • 利益が薄い

こうした状態だと、
「頑張っているのに報われない」感覚が生まれます。

P/Lを設計図として見ない限り、
この違和感の正体は見えません。


売上総利益=「価値を生んだ量」

ここで、P/Lの最初の重要ポイントが
**売上総利益(粗利)**です。

売上総利益とは、

お客さんからもらったお金のうち、
商売として“価値を生み出せた分”

と考えてください。

売上そのものは、
「どれだけ動いたか」
を表す数字です。

一方、粗利は、

  • 値決めが適切だったか
  • 原価管理ができているか
  • そもそも儲かる仕事をしているか

これらを一気に映します。


ケース|同じ売上でも、粗利が違う2社

  • A社:売上1,000万円/粗利200万円
  • B社:売上1,000万円/粗利500万円

どちらが、経営しやすいか。
答えは明らかですよね。

粗利は、社長が使える“エネルギー量”

このエネルギーで、
人件費も、家賃も、未来への投資もまかないます。


営業利益=「経営判断の結果」

粗利から、固定費を引いた先にあるのが
営業利益です。

ここが重要なポイントです。

営業利益は、社長の判断の集合体

  • どんな人を雇ったか
  • どんな固定費を背負ったか
  • どんな売り方を選んだか

これらの意思決定が、
すべて集約された数字です。

だから営業利益は、
「現場の頑張り」ではなく
経営の設計が正しいかどうかを示します。


利益段階ごとに「誰の意思」が反映されているか

P/Lは、段階ごとに意味が違います。

これを整理すると、
P/Lが一気に“設計図”に見えてきます。

  • 売上
     → 市場・営業・顧客の意思
  • 売上総利益(粗利)
     → 値決め・商品設計の意思
  • 営業利益
     → 社長の経営判断の意思

つまり、

下に行くほど、社長の責任領域が濃くなる

ということです。

営業利益が出ていないとき、
現場だけの問題にしてはいけません。
設計を見直すサインです。


儲からない会社のP/Lに共通する形

これまで多くのP/Lを見てきて、
「これは危ないな」と感じる形があります。

代表的なのは、次の3つです。

① 売上は立派、粗利が薄い

→ 忙しいのに儲からない
→ 値決めか原価に問題あり

② 粗利はあるが、固定費が重すぎる

→ 人・場所・設備を背負いすぎ
→ 成長を急ぎすぎている可能性

③ 利益が、たまたま出ているだけ

→ 補助金・一時的案件・偶然の要素
→ 再現性がない

これらはすべて、
設計の問題です。


P/Lを「改善の地図」として使う

P/Lを設計図として見ると、
次にやるべきことが見えてきます。

  • 売上を伸ばすのか
  • 粗利を厚くするのか
  • 固定費を抑えるのか

全部やる必要はありません。

どこを触れば、一番効くか

それを教えてくれるのが、P/Lです。


ゴール|「自分の商売は、どこで儲かっているのか?」

この第2回のゴールは、
会計知識を増やすことではありません。

  • 自分の商売は、どこで儲ける設計なのか
  • その設計は、今の現実に合っているか

この問いを、
P/Lを見ながら考えられるようになること。

それができれば、
P/Lはもう「怖い成績表」ではありません。


今日の「虎の穴」→ 儲けは、努力ではなく設計から生まれる

儲からないのは、頑張りが足りないからではない
商売が“儲かる形”に設計されていないだけである


PAGE TOP