
――DXが、社長の意思決定をどう変えるか・第1回――
数字がすぐ出ると、社長の仕事は変わる
「売上は今いくら?」「在庫はどうなっている?」「今月の粗利は?」
こうした質問に即答できる会社と、答えるのに数日かかる会社では、社長の時間の使い方がまったく変わります。
数字がすぐ出る会社では、社長は**「数字の確認」ではなく「数字をどう活かすか」**に集中できます。
- 従来:数字が揃うまで待つ → 会議で報告される → 判断は後手
- DX後:リアルタイム数字 → 即判断 → 現場へ即アクション
つまり、数字の「即時可視化」は、社長の意思決定速度を劇的に加速させるのです。
ケーススタディ:製造業A社のDX導入前後
A社は従来、月次決算の締めが終わるまで利益状況がわかりませんでした。
- 問題点:
- 月末まで在庫過多や生産効率の問題が見えない
- 数字が揃うまで判断できず、改善が遅れる
- 社長は数字確認に追われ、戦略検討の時間が取れない
DX導入後の変化
- ERPと管理会計DXを連動
- 売上・原価・粗利・在庫をリアルタイムで可視化
- 社長は毎朝ダッシュボードをチェック
- 問題点を即座に現場へ共有 → 改善策をその日のうちに実行
結果、意思決定スピードが格段に向上し、月末の駆け込み対応や在庫過多が大幅に減少しました。
数字がすぐ出る会社で、社長が考えること
数字が揃った瞬間、社長は次のような問いを自動的に考えます。
- 現状の数字は予算・計画通りか?
- どの部門が期待以上・未達か?
- 改善アクションはどの順番で打つべきか?
- 長期戦略にどのタイミングで資源を投入するか?
つまり、数字が揃った瞬間に「意思決定の思考ループ」が回り始めるのです。
ケーススタディ:小売業B社
- 社長は毎朝、前日の売上と粗利を確認
- 特定店舗の売上が予算を下回っていることに即気づく
- 「販促強化」か「在庫調整」かをその日のうちに判断
- 現場は即アクション → 売上回復が迅速
DXで数字がリアルタイムになることで、意思決定の速度と精度が劇的に向上しました。
意思決定が速くなると、社長の時間の価値が変わる
数字が揃わない会社では、社長は数字を揃える作業や確認作業に時間を取られます。
- 月次決算待ち → 数日間判断停止
- 会議で数字確認 → 重要判断に時間を割けない
しかし、数字が即時可視化されれば、社長は**「意思決定」と「戦略思考」に時間を使える**のです。
- 日々の判断は迅速化
- 長期戦略や新規事業に時間を集中
- 現場は判断の前提が明確になり、自律的に動く
数字が揃うだけでは不十分。意思決定フローも整える
数字がすぐ出ることは前提ですが、社長が考えられる状態を作るには、意思決定フローもセットで設計する必要があります。
- 誰が数字をチェックするか
- どのタイミングで現場に改善アクションを指示するか
- KPIや判断基準はあらかじめ決めておく
ケーススタディ:製造業C社
- DXで原価・工数・売上をリアルタイム可視化
- 社長は毎朝10分で前日の数字を把握
- 部門長との朝会で改善アクションを即決
- 数字の確認 → 判断 → 現場アクションが1日単位で回る
結果、意思決定スピードが格段に上がり、社長の時間が戦略立案に集中できるようになりました。
数字がすぐ出る会社で社長が考える「未来」
数字が揃った瞬間、社長の思考は「今何をすべきか」から「未来をどう作るか」にシフトします。
- 売上や粗利のトレンドから新規施策を検討
- 部門ごとの強み・弱みを見極め、資源配分を調整
- 数字の変化に基づき、次の意思決定を先読み
つまり、数字が揃うだけで、社長の思考回路が「 reactive(受け身)」から「 proactive(先手)」に変わるのです。
数字のリアルタイム化は、社長の意思決定速度と精度を高め、経営を一歩先に進める力になります。
ただし、数字だけではなく、意思決定フローとKPI設計もセットで整えることが、DXの本当の価値です。
今日の一言
数字がすぐ出る会社では、社長は「数字を見る作業」から解放され、意思決定と戦略思考に集中できる。
DXは単なるツールではなく、社長の時間と判断を変える仕組みである。
