⑥数字が苦手な社長でも「利益が残る会社」になる


― 簿記との正しい付き合い方・最終結論 ―


6回シリーズのゴール地点に立って

ここまで、全6回にわたって
「スモールビジネス経営者が学ぶべき簿記の基本」
というテーマでお話ししてきました。

  • 仕訳を意識しない記帳の考え方
  • 月次P/Lの見方
  • P/LとB/Sの繋がり
  • 社長が最低限知っておくべき仕訳パターン

正直に言えば、
これだけやれば“簿記としては十分すぎる” 内容です。

それでも、最後にもう一度だけ、
とても大切なことを整理しておきたいと思います。

それは、

簿記を「どう学ぶか」よりも
「どう付き合うか」で会社の未来は決まる

ということです。


仕訳を学ぶ順番を間違えると、ほぼ確実に失敗する

数字が苦手な社長が、
会計や簿記でつまずく一番の原因。

それは 「学ぶ順番」 です。

多くの社長が、こんな順番で挑戦します。

  1. いきなり簿記の本を買う
  2. 借方・貸方で挫折
  3. 「自分は数字が苦手だ」と思い込む
  4. 会計を完全に税理士任せにする

これ、ほぼ失敗ルートです。

本来の正しい順番

本来は、順番が逆です。

  1. 判断のために数字を見る
  2. 月次P/Lで経営を振り返る
  3. 「なぜこうなった?」と疑問を持つ
  4. その理由として仕訳を理解する

仕訳は「入口」ではありません。
“答え合わせ”の位置づけです。


記帳・仕訳・財務諸表の「正しい距離感」

ここで一度、社長と会計の距離感を整理しましょう。

記帳:近すぎても、遠すぎてもダメ

  • 完璧にやろうとする → 疲弊
  • 丸投げしすぎる → 中身がブラックボックス

社長にとっての記帳は、

「正しく入力されているかを判断できる距離」

これがベストです。

freeeやマネーフォワードで
「これは売上?経費?」
「これは今月?来月?」

この判断ができれば十分です。


仕訳:理解するが、覚えない

第5回でお伝えした通り、
社長が知っていればいい仕訳は 5パターンだけ でした。

  • 売上が立つ
  • 入金される
  • 経費を払う
  • 原価・外注を使う
  • 借入・返済をする

これ以上は、
覚えなくていい のです。

仕訳は敵ではありません。
裏側で「数字がどう動いているか」を知るための
構造説明ツールです。


財務諸表:社長の主戦場はここ

社長が一番向き合うべきは、

  • 月次P/L
  • 簡易B/S

ここだけです。

決算書を完璧に読める必要はありません。
でも、

  • 今月、儲かったのか?
  • その利益は現金として残っているのか?
  • 危険な兆候は出ていないか?

これを判断できないのは、
社長としてかなり危険です。


社長が「やるべきこと」と「やらなくていいこと」

ここで、はっきり線を引きましょう。

社長がやるべきこと

  • 月次P/Lを見る
  • 前月・前年と比較する
  • 「なぜ?」を考える
  • 次の一手を決める

社長がやらなくていいこと

  • 仕訳を全部覚える
  • 勘定科目を細かく設定する
  • 会計ルールを完璧に理解する

会計は、
社長の仕事を減らすための道具であって、
仕事を増やすものではありません。


事例|会計を「武器」に変えた社長の話

ある小規模サービス業の社長の話です。

この社長は、以前こんな状態でした。

  • 売上は増えている
  • でもなぜかお金が残らない
  • 決算前にいつも慌てる

そこでやったのは、たった一つ。

毎月、月次P/Lを15分見る

それだけです。

  • 売上の増減
  • 外注費の割合
  • 利益率の変化

これを見ているうちに、

「この仕事、忙しいけど儲かってないな」
「この外注、コスパ悪いな」

と、自然に判断できるようになりました。

結果、
売上はほぼ同じなのに、
利益だけが残る会社に変わりました。


会計を「経営の武器」に変える視点

ここが一番伝えたいポイントです。

会計は、

  • 正解を探すものではありません
  • 点数を取るものでもありません

判断を良くするための道具です。

数字が苦手でも構いません。
むしろ、数字が苦手な社長ほど、

  • 数字を「使う」意識
  • 判断に繋げる姿勢

を持てば、
会計は一気に武器になります。


次のステップへ|利益計画・月次判断へ

このシリーズを読み終えたあなたは、
もう次の段階に進めます。

それは、

  • 利益目標を先に決める
  • 月次でズレを確認する
  • 修正する

という 「利益計画 × 月次判断」 の世界です。

簿記は、もう怖くありません。
あなたはすでに、

「経営のために数字を見る社長」

になっています。


今日の一言

簿記は覚えるものではない。
社長が“判断するために使うもの”である。


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