
― 虎の穴の入口として、まず知ってほしいこと ―
「数字が苦手」なのは、あなただけではない
「数字が苦手で……」
この言葉を、これまで何人の社長から聞いてきたでしょうか。
小規模事業の経営者、現場叩き上げの社長、職人出身の経営者。
業種も年齢も違うのに、驚くほど同じ言葉が返ってきます。
- 決算書を見ると、急に思考が止まる
- 利益が出ていると言われても、実感がない
- 数字の話になると、税理士に任せきりになる
でも、これは決して「能力」や「頭の良さ」の問題ではありません。
実は多くの場合、
数字が苦手なのではなく、数字との付き合い方を誰からも教わっていないだけなのです。
学校では「計算」は教わりましたが、
経営のために数字をどう使うかは、誰も教えてくれませんでした。
この記事は、そんな「数字が苦手な社長」のための
管理会計の入口として書いています。
難しい数式も、専門用語も、最小限です。
まずは「全体像」をつかむことから始めましょう。
なぜ「数字が苦手な社長」はこれほど多いのか
少し厳しい言い方をすると、
多くの社長は、数字に対してこんな誤解を持っています。
- 数字は「正解」があるもの
- 間違えたら恥ずかしいもの
- 専門家が扱うもの
この思い込みが、数字との距離を一気に広げます。
ある製造業の社長は、こんなことを言っていました。
「税理士さんの前で、変なことを言ったら恥ずかしいじゃないですか。
だから、分からないまま“はい”って言ってしまうんです」
でも、本来数字は
社長が一番ラフに使っていい道具のはずです。
完璧である必要も、正確無比である必要もありません。
にもかかわらず、
「正しく理解しないといけない」「分からないのはダメだ」
と思い込んでしまう。
これが、数字アレルギーの正体です。
数字の問題ではなく、「考え方」の問題である
ここで、はっきりさせておきたいことがあります。
数字が苦手な社長に足りないのは、知識ではありません。
足りないのは、
「管理会計をどう捉えるか」という考え方です。
もし管理会計を、
- 正解を当てるテスト
- 会計の勉強
- 経理の延長
だと思っていると、必ずつまずきます。
虎の穴が考える管理会計は、まったく違います。
管理会計とは、社長が“決める”ための道具
これだけです。
次の章から、その理由を順番に見ていきましょう。
管理会計は「経理の仕事」ではない
会計と管理会計の決定的な違い
まず、多くの社長が混同している
「会計」と「管理会計」の違いから整理します。
| 項目 | 会計(財務会計) | 管理会計 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 外部への報告 | 社内の判断 |
| 相手 | 税務署・銀行 | 社長・経営陣 |
| 過去/未来 | 過去 | 未来 |
| 正確性 | 非常に重要 | そこまで重要ではない |
ポイントはここです。
管理会計は「未来の判断」のために使うもの。
だから、
税務的に正しいかどうかよりも、
経営判断に使えるかどうかが重要になります。
管理会計が社長のためにある理由
例えば、こんな場面を想像してください。
- 値上げをすべきかどうか
- 人を一人増やすべきか
- この取引先を続けるべきか
これらは、すべて社長が決めることです。
そして、この判断に必要なのは、
- 「正確な決算書」ではなく
- 「判断に足る、ざっくりした数字」
です。
管理会計は、
社長が迷わず決めるための“補助線”。
経理の仕事ではなく、
社長業そのものなのです。
数字は“見るもの”ではなく“使うもの”
数字を眺めても経営は良くならない
「毎月、試算表は見ています」
こう言う社長は多いですが、
実際に中身を聞くと、こうなります。
- 売上が増えた/減った
- 利益が出た/出なかった
で、話が止まる。
これでは、
天気予報を見ているだけと同じです。
「今日は雨ですね」で終わってしまい、
傘を持つかどうかを決めていない。
判断と結びついた瞬間に意味が生まれる
数字が生きるのは、
行動と結びついた瞬間です。
例えば、こんな問いに変わったとき。
- この売上水準なら、人を増やせるか?
- この粗利構造で、値引きして大丈夫か?
- この固定費水準は、今の事業規模に合っているか?
管理会計は、
「数字を説明するため」ではなく
**「次の一手を決めるため」**にあります。
虎の穴では、
常に「それで、何を決めますか?」と問い続けます。
なぜ細かく分解しすぎてはいけないのか
分解が目的化した管理会計の弊害
管理会計というと、
「細かく分解するもの」と思われがちです。
- 商品別
- 顧客別
- 担当者別
確かに、分解すると気づきは出ます。
しかし、ある段階を超えると、
分解そのものが目的化します。
あるサービス業の社長は、
エクセルで30項目以上に分解した管理表を作っていました。
結果どうなったか。
- 更新されない
- 見返されない
- 判断に使われない
本末転倒です。
「粗く捉える」ことの経営的価値
虎の穴が重視するのは、
あえて粗く捉えることです。
- まずは3〜5項目
- 判断に必要最低限
- 毎月、確実に見る
粗いからこそ、
全体の歪みが見えます。
管理会計は、
顕微鏡ではなく、地図です。
細部よりも、
「今どこにいて、どこへ向かうのか」。
それが分かることの方が、
社長にとっては何倍も重要です。
虎の穴が大切にしている3つのスタンス
① 感覚を否定しない
虎の穴では、
社長の「なんとなく」を否定しません。
むしろ、
「その違和感、数字で見てみましょう」
と扱います。
感覚は、
現場を見てきた社長だけが持てる重要な資産です。
② 社長の仕事から逆算する
管理会計の設計は、
必ずこう問いから始まります。
- 今年、何を決める必要があるか
- どこで迷っているか
表を作る前に、
意思決定ありきです。
③ 答えを出さない管理会計
虎の穴は、
「正解」を教える場所ではありません。
管理会計は、
答えを出すものではなく、
考える材料を揃えるものだからです。
決めるのは、
いつも社長本人。
それが、管理会計の本質です。
管理会計は「社長が決めるための地図」
ここまで読んでいただき、
ありがとうございます。
管理会計を一言で言うなら、こうです。
管理会計とは、社長が迷わず決めるための地図
数字が苦手でも構いません。
完璧である必要もありません。
大切なのは、
- 正しく理解することより
- 使える形で持つこと
虎の穴は、
その「地図づくり」を一緒に行う場所です。
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数字の見方が、
少しずつ変わり始めるはずです。
今日の一言
管理会計は、分かるためのものではない。決めるためのものである。
