
― 管理会計の入口に立つ ―
決算書を読めても、迷いは消えない
ここまでで、
P/L・B/S・CFを俯瞰し、
数字を「物語」として読めるようになりました。
それでも、
こんな感覚が残っていないでしょうか。
- 読めるけど、決めきれない
- 理屈は分かるが、判断が怖い
- 「で、結局どうする?」が残る
それは、あなたの理解が浅いからではありません。
決算書は、そもそも「判断のため」に作られていない
ここが、
財務会計と管理会計の分かれ道です。
なぜ決算書だけでは判断できないのか
決算書は、
過去を正しく報告するための資料です。
- 法律で決まったルール
- 外部向け(税務・銀行)
- 正確さが最優先
一方、経営判断は、
- 未来について
- 仮説ベースで
- スピード重視
この2つは、
目的が違うのです。
財務会計=報告
管理会計=決断
ここを混同すると、
いつまでも数字に縛られます。
管理会計は「数字の切り口」を変えること
管理会計で最初にやることは、
実はとても地味です。
数字を“分けて考える”
代表的なのが、
固定費・変動費という考え方です。
固定費・変動費という“考え方”
固定費・変動費は、
勘定科目の話ではありません。
「売上との関係性」で分ける視点
- 売上が増えても変わらない → 固定費
- 売上に比例して増える → 変動費
これで何が分かるか。
売上が減ったとき、何が残るか
この視点を持った瞬間、
数字が「判断材料」に変わります。
ケース|値下げしていいか迷う社長
よくある相談です。
「この商品、値下げしたら売れそうなんですが…」
管理会計的な問いは、これです。
- その値下げで、粗利はいくら減るか
- 固定費はカバーできるか
- 数量で取り戻せる現実性はあるか
感覚論ではなく、
構造で考える。
これが、管理会計です。
損益分岐点は「安全ライン」
管理会計の代表選手、
損益分岐点。
難しそうに聞こえますが、
意味はシンプルです。
ここを下回ると赤字、超えると黒字
もっと経営者向けに言うなら、
最低限、死なない売上ライン
これが分かっているかどうかで、
意思決定の重さが変わります。
損益分岐点を知らない会社の特徴
- 売上目標が感覚的
- 値下げ判断が怖い
- 売上減少に過剰反応する
逆に、
損益分岐点を知っている社長は、落ち着いている
なぜなら、
「どこまでなら耐えられるか」を
知っているからです。
数字が意思決定に変わる瞬間
管理会計が
「道具」になる瞬間があります。
それは、
こんな問いが自然に出てきたときです。
- この判断で、固定費はどうなる?
- 粗利は足りる?
- 分岐点は上がる?下がる?
この時、数字はもう、
- 過去を責めるもの
- 自分を評価するもの
ではありません。
未来を選ぶための地図
になっています。
管理会計は、特別な人のものではない
よくある誤解があります。
- 管理会計=大企業
- 管理会計=専門家向け
- 管理会計=難しい
全部、違います。
スモールビジネスに必要なのは、
- 完璧な数字
- 複雑な分析
ではなく、
判断に足りる“荒い地図”
むしろ、
小さい会社ほど、
管理会計は効きます。
管理会計とは「数字で会話する習慣」
最後に、
管理会計を一言で言うなら、これです。
管理会計とは、数字で迷いを減らす習慣
特別な資料を作ることではありません。
- 数字を分けて考える
- 安全ラインを知る
- 判断の前に一度数字に聞く
それだけで、
経営は驚くほど静かになります。
ゴール|「使ってみよう」と思えたら成功
この回のゴールは、
とても控えめです。
「管理会計、ちょっと使ってみようかな」
この気持ちが生まれたら、
それで十分。
管理会計は、
一気にやるものではありません。
今日の「虎の巻」→ 管理会計は、社長のためにある
管理会計は、会社を縛るための数字ではない
社長が決断しやすくなるための道具である
