
― 決められないのは、覚悟が足りないからではない ―
「頭では分かっているんです。でも、踏み切れなくて…」
シリーズの最後に、
社長が必ず立ち止まるポイントがあります。
「やった方がいいのは分かっている」
「このままではいけないとも思っている」
それでも、
- 今のやり方を捨てきれない
- 決断を先延ばしにしてしまう
- もう少し様子を見ようと思ってしまう
これが、
STEP6|構造転換に踏み切れない状態です。
まず最初に、
はっきり言っておきます。
これは、社長の弱さでも、覚悟不足でもありません。
ごく自然な反応です。
構造転換は「正解かどうか分からない決断」
構造転換が難しい理由は、
とてもシンプルです。
「正解かどうか、事前には分からない」
- 市場を絞る
- やらない仕事を決める
- 価格を変える
- 業務の流れを変える
どれも、
- 数字で100%証明できない
- 他社の成功例がそのまま使えない
だから、怖い。
これは、
普通の投資判断や改善とは
次元が違う決断なのです。
ケース① 3年間「準備中」のまま止まっていた社長
ある社長は、
こう言い続けていました。
「もう少し準備が整ったらやります」
- 市場分析はした
- 強みも言語化した
- 数字も見られるようになった
でも、
実行だけが進まない。
理由を深掘りすると、
本音が出てきました。
「失敗したら、
今までやってきたことを
全部否定することになる気がして…」
これが、
多くの社長が口に出さない本音です。
踏み切れない正体は「失敗」ではない
社長が本当に怖いのは、
- 失敗そのもの
ではありません。
怖いのは、
- 自分の判断を否定されること
- 社員に説明できなくなること
- 「社長として間違っていた」と思われること
つまり、
立場としての自分が揺らぐこと
です。
だから、
無意識にブレーキがかかる。
構造転換は「今までの自分」との決別
構造転換とは、
- 新しいことを始める
ではなく - 今までのやり方を一部捨てること
です。
- 取っていた仕事を断る
- 付き合いのあった顧客を減らす
- 得意だった動きをやめる
これは、
過去の自分を否定する行為
に近い。
だから、
簡単なはずがない。
ケース② 一歩踏み出した社長が最初に感じたこと
別の社長は、
かなり悩んだ末に、
構造転換に踏み切りました。
結果はどうだったか。
「正直、
最初はスッキリなんてしなかったです」
- 不安は残る
- 正解かどうか分からない
- 手応えもまだ薄い
でも、
数ヶ月後、こう言いました。
「少なくとも、
迷い続ける状態からは抜けました」
これが、
踏み切ることの一番の効果
です。
構造転換は「賭け」ではない
ここで、大事な誤解を解きます。
構造転換は、
- 大きな賭け
- 一発逆転
ではありません。
実際は、
「失敗しにくい方向に、少し舵を切る」
行為です。
- 全部変えない
- 一部から変える
- 戻れる余地を残す
だからこそ、
STEP1〜5が存在します。
踏み切れない社長に共通する3つの状態
もし、
今も迷っているなら、
次を確認してください。
① 完璧な確信を求めている
100%の安心は、
永遠に来ません。
② 周囲の納得を先に取りに行っている
まずは、
自分が決めること。
③ 今の延長線で考えている
構造転換は、
延長ではなく切り替えです。
「決断」と「実行」は分けて考える
ここで、
社長が楽になる考え方を一つ。
決断=完璧にやること
ではありません。
- 決める
- 試す
- 修正する
これで十分。
一気に変えようとするから、
重くなる。
構造転換は「社長の仕事を変える行為」
STEP6の本質は、
ここにあります。
構造転換とは、
- 会社を変える
よりも - 社長の役割を変える
こと。
- 現場プレイヤーから
- 判断と設計の人へ
これは、
肩書きが変わるほどの変化です。
だから、
時間がかかって当たり前。
踏み切った瞬間、何が起きるのか
多くの社長が言います。
- 不安はゼロにならない
- でも、腹は決まる
- 判断がブレにくくなる
構造転換に踏み切るとは、
「これで行く」と決めること
それだけです。
結果は、
後からついてきます。
迷っている状態が、一番のコスト
最後に、
厳しいことを一つだけ。
構造転換に踏み切らない間も、
- 時間は過ぎる
- 市場は変わる
- 社長は消耗する
迷い続ける状態こそが、
一番コストが高い。
これは、
多くの社長が後から気づく事実です。
STEP6は「覚悟」ではなく「区切り」
STEP6で必要なのは、
- 強い覚悟
ではなく - 区切りをつけること
- この構造で行く
- 修正はするが、戻らない
この線を引くだけでいい。
今日の一言
構造転換は、正解を選ぶことではない。
迷い続ける状態に、終止符を打つことだ。
ここまで来た社長は、
もう十分考えました。
あとは、
小さく踏み出すだけです。
事業構造転換は、
社長が
社長に戻るためのプロセス
なのです。
