
―「任せたつもり」が一番危ない理由―
「任せているのに、なぜか回らなくなる」
経営者の方から、こんな相談を受けることがあります。
- 「ちゃんと仕組みは作ったはずなんです」
- 「ルールも一度は共有しました」
- 「あとは任せているんですが…」
それでも現場では、
- 判断がズレていく
- いつの間にかルールが形骸化している
- トラブルが増えている
社長としては、こう思います。
ちゃんと決めたのに、なんで?
しかし多くの場合、原因はとてもシンプルです。
確認していない
今回は、「仕組みが壊れていく会社」に共通する
この“見落とされがちな落とし穴”を掘り下げていきます。
仕組みは「作った瞬間」が一番元気
まず大前提として。
どんな仕組みも、
作った直後が一番ちゃんと動きます。
- 会議で決めた
- ルールを説明した
- 一度は守られた
この段階で、多くの社長はこう思います。
「よし、これで大丈夫だな」
しかし、ここからが本当のスタートです。
ケース①:最初は守られていたルール
ある会社で、値引きのルールを決めました。
- ○%までなら現場判断OK
- それ以上は要相談
最初の1〜2ヶ月は、
きちんと守られていました。
ところが半年後。
- 「今回は特別で…」
- 「前もこれくらいは大丈夫でしたよね?」
いつの間にか、
ルールは“目安”になっていました。
社長は驚きます。
そんな話、聞いてない
でも現場はこう思っています。
確認されなかった=OKなんだと思っていました
仕組みが壊れるのは、悪意ではない
ここで重要なのは、
誰もサボろうとしていない
誰もルールを壊そうとしていない
という点です。
人は、
- 忙しい
- 目の前の仕事を優先する
- 少しずつ都合のいい解釈をする
生き物です。
だから、
確認されない仕組みは、必ずズレる
これは、人の性質です。
「信頼しているから確認しない」は間違い
よく聞く言葉があります。
「信頼しているから、細かく確認しない」
一見、良い社長のように聞こえます。
しかし、仕組みの運用においては、
これは危険な考え方です。
なぜなら、
- 信頼=放置
- 確認=疑っている
ではないからです。
確認とは「疑うこと」ではない
確認とは、
- できているかを見る
- 想定とズレていないかを見る
- 仕組みが生きているかを見る
行為です。
むしろ、
確認しないことこそ、無関心
と受け取られるケースも少なくありません。
ケース②:確認がなくなった瞬間に起きた変化
ある会社では、
社長が毎月必ずチェックしていた数字がありました。
- 粗利率
- 受注単価
それを見て、
特に何か言うわけでもありません。
ただ、
- 見ている
- 把握している
という事実が伝わっていました。
ところが社長が忙しくなり、
その確認が止まりました。
すると、
- 数字への意識が下がる
- 判断が甘くなる
- 以前なら止まっていた判断が通る
仕組みは、
確認されなくなった瞬間から壊れ始めたのです。
確認がないと「例外」が増える
仕組みが壊れる典型パターンがあります。
それが、
例外の積み重ね
- 今回だけ
- 特別だから
- 急ぎだから
一つ一つは、
もっともらしく聞こえます。
しかし、
- 例外を確認しない
- 例外を戻さない
これが続くと、
例外が通常になる
のです。
仕組みが壊れる会社の共通点
これまで見てきた会社には、
共通点があります。
- 決めた後は安心する
- 確認は現場任せ
- 問題が起きてから動く
つまり、
運用を設計していない
仕組みは、
作ることよりも、
保つことの方が難しいのです。
うまく回る会社は「確認の仕組み」がある
一方、うまく回っている会社は違います。
- 毎月見る数字が決まっている
- チェックするタイミングが決まっている
- ズレたら戻す
ポイントは、
社長が全部確認しない
ことです。
確認は「社長の仕事」ではない?
意外に思われるかもしれませんが、
確認は、
必ずしも社長がやる必要はありません。
大切なのは、
- 誰が
- 何を
- どの頻度で
確認するのかが、
決まっていることです。
ケース③:確認役を決めただけで回り出した会社
ある会社では、
- 数字の確認は部長
- 基準から外れたら社長に報告
というルールを決めました。
社長は、
- 毎回細かく見ない
- 例外対応だけする
これだけで、
- 現場判断が安定
- 社長の負担が激減
- 仕組みが長持ち
しました。
確認しない会社の最終形
確認がない状態を放置すると、
- ルールは形だけ
- 判断は属人化
- 仕組みは崩壊
そして最後に、
社長はこう言います。
結局、全部自分で見ないとダメだな
しかし実際には逆です。
確認を怠ったから、全部戻ってきた
のです。
確認とは「仕組みへの愛情」
確認は、管理でも監視でもありません。
- 仕組みが生きているかを見る
- 会社を守るための行為
言い換えれば、
仕組みへの愛情
です。
放っておいて育つ仕組みは、
存在しません。
次回予告:「回る会社」が最後にやっていること
次回は、
- 確認の先に何があるのか
- 社長の仕事がどう変わるのか
をテーマに、
「社長の仕事が“確認と例外対応だけになる状態”」
を描いていきます。
今日の一言
仕組みは、作っただけでは守ってくれない。
確認されて初めて、会社を守り続ける。
任せるために、
確認する。
これが、回り続ける会社の共通点です。
