
――数字で話す社長は、信用される・第2回――
「この数字、どう使えばいいんですか?」
決算書を前にして、
多くの社長が心の中でつぶやく言葉があります。
「……で、これを見て、何を判断すればいいんだろう?」
・売上は載っている
・利益も出ている
・税金の計算もされている
でも、
次に何をすればいいかが、分からない
この感覚、
決して珍しくありません。
税理士の数字は「正しい」が「使えない」?
まず、はっきりさせておきます。
税理士が出す数字は、基本的に「正しい」
・法律に基づいている
・税務署に説明できる
・第三者が見ても通用する
ただし、
そのままでは、経営判断には使いにくい
なぜなら、
・目的が「申告」
・時間軸が「過去」
・粒度が「会社全体」
だからです。
税理士は「答え」を出す人ではない
ここで、多くの社長が勘違いしています。
税理士は、経営の答えを出してくれる存在
と思ってしまう。
でも実際は、
税理士は、材料を提供する人
です。
料理をするのは、
社長自身。
その材料を、
・どう切るか
・どう味付けするか
それを決めるのが、
質問力です。
「良い質問」が、数字を変える
同じ決算書を見ても、
質問次第で得られるものは全く違います。
よくある質問
「この数字、どうですか?」
「問題ないですよね?」
→ 返ってくる答えは
「大丈夫です」「平均的です」
使える質問
「この利益は、どの事業が作っていますか?」
「前年と比べて、どこが一番変わりましたか?」
→ 数字が、意味を持ち始める
ケーススタディ:質問を変えただけで見えたもの
あるサービス業の社長。
毎月、税理士から
試算表を受け取っていました。
でも、
・眺めて終わり
・ファイルに保存して終了
あるとき、
こんな質問をしてみました。
「この中で、
一番“儲かっていない仕事”はどれですか?」
税理士は、
少し考えてから答えました。
「正確ではありませんが、
この取引先ですね。」
その一言で、
・値下げをやめ
・取引条件を見直し
半年後、
利益率は大きく改善しました。
税理士との会話が噛み合わない理由
税理士との会話が噛み合わないと感じる理由は、
とてもシンプルです。
聞いていることが違う
税理士は、
・事実を説明する
・ルールを守る
・リスクを避ける
一方、社長は、
・判断したい
・決めたい
・動きたい
このズレを埋めるのが、
質問力です。
「はい・いいえ」で終わらせない質問
使える質問には、
ある共通点があります。
それは、
会話が続く
質問です。
例えば、
・「なぜ?」
・「もし◯◯なら?」
・「他と比べると?」
これだけで、
数字は立体的になります。
管理会計の視点が、質問を変える
管理会計の考え方を少し持つだけで、
質問は変わります。
・この売上は、利益にどれだけ貢献しているか
・固定費を回収できているか
・キャッシュはいつ動くか
これらは、
税理士が勝手に教えてくれるものではない
だからこそ、
社長が聞く必要がある
税理士は「敵」でも「上司」でもない
たまに見かけるのが、
・税理士に遠慮しすぎる社長
・逆に、丸投げする社長
どちらも、
もったいない。
税理士は、専門家としてのパートナー
主導権は、
常に社長にあります。
「分からない」は、最強の質問
一番強い質問は、
これです。
「正直、分かりません。
社長の立場で、
どう考えればいいですか?」
これを言える社長ほど、
成長が早い。
なぜなら、
理解しようとしている姿勢が伝わるから
税理士の数字が「武器」になる瞬間
税理士の数字が、
ただの帳簿から
武器に変わる瞬間があります。
それは、
・意思決定に使われたとき
・行動に結びついたとき
質問が変われば、
数字は答えてくれます。
応用編の本質
この応用編で伝えたいのは、
数字を知ることではなく、
数字を使えるようになること
その第一歩が、
質問力です。
今日の一言
数字を変えるのは、
計算力ではない。
問いの質である。
