
――財務会計は過去、管理会計は未来・第1回――
数字は見ているのに、なぜ経営は楽にならないのか
こんな経験はありませんか?
- 毎月、試算表は見ている
- 税理士とも定期的に話している
- 決算書も一応、目を通している
それなのに、
- 判断に自信が持てない
- 将来の話になると急に不安になる
- 「で、どうすればいい?」が分からない
そして、心のどこかでこう思う。
「数字はちゃんと見ているはずなのに、
なぜ経営が楽にならないんだろう?」
その原因は、
あなたの能力不足ではありません。
ほとんどの社長が、
ある“混同”をしているだけです。
財務会計と管理会計は、似ているようでまったく別物
まず、結論からお伝えします。
財務会計と管理会計は、
目的も、使い道も、時間軸も違います。
にもかかわらず、
多くの社長はこの2つを
無意識に同じものとして扱っています。
ここから、
経営のブレーキがかかり始めます。
財務会計は「過去」を整理するためのもの
まず、一般的に言われる「会計」。
- 財務会計
- 税務会計
- 決算書
- 試算表
これらはすべて、
過去に起きた事実を、
正確に整理・報告するためのもの
です。
- いくら売ったか
- いくら使ったか
- 結果として、いくら残ったか
これはとても重要です。
でも、あくまで過去形です。
管理会計は「未来」を決めるためのもの
一方で、管理会計は何か。
管理会計とは、
これから、どうするかを決めるための数字
です。
- この仕事、続けるべきか?
- 値上げしても大丈夫か?
- 人を増やすと、どうなるか?
つまり、
意思決定のための会計です。
時間軸がズレた瞬間、経営は止まる
ここで問題が起きます。
社長は、
- 未来の判断をしたい
- これからの不安を減らしたい
と思って数字を見ています。
でも、
見ている数字は過去の会計。
このズレが、
- 判断できない
- 動けない
- 不安が消えない
状態を生みます。
【ケース①】決算書を見て、悩み続ける社長
ある社長の話です。
決算書を見ながら、こう言いました。
「黒字なんですけど、
正直、安心できないんですよね」
数字上は問題なし。
でも、
- 手元の現金は少ない
- 忙しさは増している
- 将来の見通しが立たない
社長は、
未来の答えを、過去の資料に求めていたのです。
財務会計に「答えが書いていない」理由
決算書や試算表を、
どれだけ眺めても、
- 次に何をすべきか
- どこを変えるべきか
は、はっきりとは書いていません。
なぜなら、
会計は「事実」を書くものであって、
「判断」を書くものではないからです。
財務会計に、
「次はこうしなさい」とは書いていない。
ここを誤解すると、
「数字を見ているのに、決断できない」
という状態に陥ります。
財務会計を経営に使おうとした瞬間に起きる勘違い
多くの社長が、
こんなことを考えます。
- この数字が良ければ、続けよう
- 悪くなったら、やめよう
でも、
財務会計の数字が出る頃には、
すでに手遅れなことも多い。
なぜなら、
財務会計は結果が出た後にしか現れないからです。
【ケース②】「数字を見てから判断する」が遅すぎた会社
ある会社では、
- 利益率が下がってから対策
- キャッシュが減ってから慌てる
という流れを繰り返していました。
社長は言います。
「ちゃんと数字を見てたんですけどね…」
でも実際は、
- 見ていたのは過去
- 判断したかったのは未来
ここが噛み合っていなかったのです。
管理会計は「未確定な未来」を扱う
管理会計の特徴は、
- 正確でなくていい
- 仮説でいい
- 予測でいい
という点です。
なぜなら、
未来は誰にも分からないから。
管理会計は、
「こうなったら、こうなるよね」
「この判断をしたら、こう動きそうだ」
という思考の補助線です。
財務会計と管理会計を混同すると、こんな症状が出る
もし、こんな状態なら要注意です。
- 試算表を見ると不安になる
- 数字が増えるほど、判断が遅くなる
- 税理士の説明を聞いても、行動に移れない
これは、
財務会計で、管理会計をやろうとしている
サインです。
財務会計は「守り」、管理会計は「攻め」
分かりやすく整理すると、
- 財務会計:守るための数字
- 管理会計:攻めるための数字
どちらが偉い、ではありません。
役割が違うだけです。
【ケース③】管理会計を分けたら、判断が早くなった社長
ある社長は、
こう割り切りました。
- 財務会計 → 税理士に任せる
- 管理会計 → 自分の言葉で作る
見る数字を、
- 「報告用」と
- 「判断用」
に分けただけで、
- 迷う時間が減り
- 決断が早くなり
- 不安が言語化できる
ようになりました。
管理会計は、社長のための翻訳機
管理会計とは、
- 会計の数字を
- 社長の意思決定に使える形に
- 翻訳する仕組み
です。
難しい理論は不要です。
必要なのは、
- どの判断に
- どの数字が必要か
を考えることだけ。
「財務会計は過去、管理会計は未来」
このシリーズのタイトルに戻ります。
会計は過去、管理会計は未来
過去を整理するのが会計。
未来を選ぶのが管理会計。
この2つを分けて考えられるようになると、
数字は一気に味方になります。
今日の一言
会計で未来を見ようとした瞬間、
経営は止まる。
未来を見るために、
管理会計がある。
