
――数字で話す社長は、信用される・第1回――
銀行は、なぜ社長を緊張させるのか
「来週、銀行との面談があります」
この一言を聞いた瞬間、
社長の表情が少し硬くなる場面を、何度も見てきました。
・何を聞かれるんだろう
・変な数字を突っ込まれないか
・融資、断られたらどうしよう
銀行面談が、
**「作戦会議」ではなく「試験」や「尋問」**のように感じてしまう。
でも、ここで一つ冷静に考えてみてください。
銀行は、社長を落とすために来ているわけではありません。
銀行の本音は、意外とシンプル
銀行の目的は、とてもシンプルです。
「貸したお金が、きちんと返ってくるか」
それだけです。
・社長の人柄を否定したいわけでも
・経営センスを批判したいわけでも
・マウントを取りたいわけでもない
では、なぜ面談があんなに重く感じるのか。
理由は一つです。
会話の言語が、噛み合っていない
銀行が使う言語は「感想」ではなく「数字」
社長が話す内容は、こんな感じが多いです。
「今期はかなり頑張りました」
「売上は手応えがあります」
「来期はもっと伸ばします」
一方、銀行が知りたいのは、
・どの事業で
・どれくらい利益が出て
・キャッシュはどう動いて
・返済原資はどこか
つまり、
銀行は「数字」で状況を把握しようとしている
このズレが、
面談を苦しいものにします。
「数字で話す社長」とは、何が違うのか
ここでいう
「数字で話す社長」とは、
・簿記が完璧
・財務理論に精通
・専門用語を多用
そんな社長ではありません。
むしろ真逆です。
自分の会社の状態を、
自分の言葉で、数字を使って説明できる社長
これだけです。
ケーススタディ:同じ会社、違う評価
ある年商3億円の会社。
・業績は安定
・赤字も出していない
・返済も遅れていない
しかし、銀行の評価は
「様子見」でした。
理由は、社長の説明。
「まあ、何とかなってます」
「細かい数字は税理士が把握してます」
一方、別の会社。
年商は2億円。
社長はこう話しました。
「今期はA事業で限界利益率が落ちています。
原因は原材料費で、来期は価格改定を予定しています。
固定費はこの水準なので、
返済原資は月◯◯万円確保できています。」
結果、
後者の方が評価は高かった。
なぜか。
未来が想像できたから
銀行が恐れているのは「分からない社長」
銀行が一番怖いのは、
・数字を見ていない
・原因を説明できない
・質問に対して曖昧
こういう社長です。
なぜなら、
問題が起きても、対処できない可能性が高い
から。
逆に言えば、
問題を認識し、説明できる社長は、
多少の赤字があっても「信用」される
「作戦会議」になる面談とは
銀行との面談が
「作戦会議」になる瞬間があります。
それは、こんな会話です。
銀行
「この利益水準だと、返済が厳しくなりませんか?」
社長
「はい。なので、この事業は縮小します。
代わりに、この商品に注力します。」
銀行
「なるほど。その場合、資金繰りは?」
社長
「◯月が一番きついので、
そこだけ短期で手当てできれば回ります。」
この瞬間、
立場は「査定される側」から
**「一緒に考える側」**に変わります。
作戦会議ができる社長の共通点
私が見てきた中で、
銀行と対等に話せる社長には共通点があります。
それは、
・完璧な数字を求めない
・分からないことは分からないと言う
・仮説で話すことを恐れない
つまり、
数字を「武器」ではなく「道具」として使っている
「銀行対策」のために数字を見るわけではない
ここで、
とても大切なことをお伝えします。
数字は、銀行のために見るものではありません。
銀行と話せるようになるのは、
結果です。
本質は、
・社長自身が
・自分の会社を
・数字で理解しているか
これだけです。
管理会計が、会話の質を変える
ここで効いてくるのが、
管理会計です。
・月次で数字を見る
・利益構造を把握する
・キャッシュの流れを意識する
これをやっている社長は、
銀行の質問が「予想できる」
ようになります。
だから、
怖くなくなる。
銀行は「敵」ではない
誤解されがちですが、
銀行は、社長の敵ではありません。
むしろ、
・資金の専門家
・第三者の視点
・ブレーキ役
として、
とても優秀な存在です。
ただし、
数字で会話できることが前提
数字で話せる社長は、社内でも信用される
これは銀行だけの話ではありません。
・社員
・幹部
・家族
すべてに共通します。
「なんとなく」ではなく、
「こう考えている」と説明できる。
これが、
社長の言葉に重みを持たせる
応用編の入り口として
この応用編では、
・数字を使って
・判断し
・説明し
・信用を積み上げる
その考え方を扱っていきます。
最初の相手として、
一番分かりやすいのが「銀行」です。
今日の一言
銀行と作戦会議ができる社長とは、
未来を数字で語れる社長である。
