⑥集客は「一度作って終わり」ではない


―社長の頭の中をなぞる、集客構造の疑似体験―

「集客は、もう一回やったから大丈夫」という勘違い。

「ホームページは作りました」
「SNSも一通りやりました」
「広告も一度出してみました」

経営者の方と話していると、こうした言葉をよく耳にします。
そして続くのが、少し困った表情での一言。

「でも、正直…思ったほど効果がなくて」

ここで多くの人が陥るのが、
「集客=一度きちんと作れば、あとは勝手に回り続けるもの」
という思い込みです。

しかし現実の集客は、家や機械のように「完成したら終わり」ではありません。
むしろ、完成した瞬間から“劣化”が始まるものです。

今回のテーマは、その前提をひっくり返すところから始まります。

集客は「装置」ではなく「生き物」に近い

集客構造を分かりやすく例えるなら、
それは「自動販売機」ではなく、「畑」に近い存在です。

  • 種をまく
  • 水をやる
  • 状態を観察する
  • 天候や季節に合わせて手入れを変える

これを怠ると、畑はどうなるでしょうか。
雑草が生え、実りは減り、やがて何も取れなくなります。

集客もまったく同じです。

一度作った導線や仕組みは、

  • お客さんの行動変化
  • 市場環境の変化
  • 自社の立ち位置の変化

こうした要因によって、必ずズレていきます

つまり、
集客は「作る仕事」ではなく、「育て続ける仕事」
なのです。

なぜ「最初はうまくいった集客」が続かないのか

「最初は反応があったんです」
「オープン直後は問い合わせが来ました」

この話もよく聞きます。

では、なぜ続かないのか。
理由はシンプルで、集客構造が“固定された前提”のままだからです。

たとえば、

  • 最初は珍しさで見てもらえた
  • 知人・紹介が一巡した
  • 一時的なキャンペーン効果だった

こうした「初期ブースト」は、時間とともに必ず消えます。

それにもかかわらず、
「同じ発信」「同じ導線」「同じメッセージ」を続けてしまう。

結果、社長の頭の中ではこうなります。

「うちの業界は集客が難しい」
「もうやれることはやった」

ですが実際には、
“やれることをやり切った”のではなく、“更新を止めただけ”
というケースがほとんどです。

ケーススタディ:反応が落ちた理由は「腕」ではなかった

ここで、よくあるケースを一つ見てみましょう。

ある小規模事業の社長は、
ブログとSNSを組み合わせた集客を始めました。

  • 最初の3か月は、問い合わせが月5件
  • その後、徐々に月1件以下に

社長はこう考えました。

「自分は文章が下手なんだ」
「やっぱり向いていない」

ですが、実際に中身を整理してみると、

  • 訴求している悩みが、半年前と変わっていない
  • 想定しているお客さん像が、実態とズレてきている
  • 入口はあるが、次の行動が分かりにくい

つまり問題は、
表現力ではなく、構造の“ズレ”でした。

集客が止まったのは、社長の能力不足ではなく、
「調整されていない構造」が原因だったのです。

集客構造で、必ず起きる「3つのズレ」

集客がうまくいかなくなるとき、
ズレているポイントは大きく分けて3つあります。

① お客さんの悩みとのズレ

最初に想定していた悩みと、
実際に相談される内容が変わってきていませんか?

集客は「過去の想定」を放置すると、
あっという間に現実と乖離します。

② 導線のズレ

見てもらえているのに、次の行動が起きない。
これは「何をすればいいか分からない」状態です。

社長から見て分かりやすくても、
初見のお客さんには不親切な導線になっていることがよくあります。

③ 自社の立ち位置とのズレ

経験が増え、得意分野が見えてくると、
本来は訴求点も変わるはずです。

それなのに、
「開業当初の肩書き・説明」を使い続けてしまう。

これも、集客が鈍る大きな原因です。

「集客を回す社長」が、必ず見ているもの

集客を安定させている社長には、共通点があります。

それは、
数字や反応を「評価」ではなく「会話」として見ていることです。

  • どの記事が読まれたか
  • どこで離脱しているか
  • どんな相談が増えているか

これを
「良い・悪い」で判断するのではなく、

「今、お客さんは何を考えているんだろう?」

と問い続けている。

集客は、
お客さんとの無言の対話

とも言えます。

反応が落ちたときは、失敗ではありません。
「次の調整ポイントが見えた」というサインです。

集客を「改善前提」で設計すると、気持ちが楽になる

集客を一度作って終わりだと思うと、
うまくいかなかったときに、精神的なダメージが大きくなります。

でも最初から、

  • ズレるのが前提
  • 定期的に見直す前提
  • 完璧を目指さない

こう考えておくと、集客はずっと扱いやすくなります。

集客とは、
完成度を競うものではなく、更新頻度を積み重ねるもの

この視点を持つだけで、
「集客が怖いもの」から
「社長の意思決定を助ける材料」へと変わっていきます。

今日の一言

集客は、作った瞬間がゴールではない。
“手を入れ続ける前提”に立った社長だけが、集客を味方にできる。


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