ー 導き出したポジションを生き残れる形にする|第6回目(全6回) ー
ここまで来た人だけが、立てる問い
ここまでのSTEPを一つひとつ積み上げてきた方は、
すでにこう感じているかもしれません。
「ポジションは、だいぶ見えてきた」
「理屈としては、成立していそう」
「でも……本当に、これでいいのか?」
この感覚、とても健全です。
なぜならSTEP12は、
「うまくいくか?」ではなく
「この道を選んで、生き残れるか?」を問うステップだからです。
売れるかどうか。
評価されるかどうか。
忙しくなるかどうか。
それらを全部ひっくるめて、
最後に“GOサインを出していいか”を判定する。
それが、STEP12の役割です。
なぜ「最終判定」が必要なのか?
多くの事業が、ある共通点で失敗します。
「いけそうだったから、進んでしまった」
・数字は合っていた
・需要もありそうだった
・周囲からも勧められた
でも数年後、
- 方向転換ができない
- 抜けるに抜けられない
- 疲弊だけが残る
こうなってしまう。
これは判断が間違っていたというより、
「最終判定」をしないまま走り出したことが原因です。
ポジショニングは、
「仮説を立てる」フェーズと
「覚悟を決める」フェーズが分かれています。
STEP12は、後者です。
“生き残れる”とは、どういう状態か?
まず、「生き残れる」という言葉を定義しましょう。
ここで言う生き残れるとは、
- 一時的に儲かる
- 流行に乗る
- 今の自分が頑張れる
という話ではありません。
生き残れるポジションとは
- 市場が多少変わっても、致命傷にならない
- 年齢・体力・環境が変わっても続けられる
- 自分が嫌いにならずに、続けられる
つまり、
「未来の自分に、ちゃんと引き継げるか?」
という視点です。
STEP12で見るのは「数字」だけではない
ここで誤解しやすいポイントがあります。
最終判定というと、
「もう一度、数字を見るんですよね?」
と思われがちです。
もちろん数字は見ます。
ただし、それだけでは足りません。
STEP12で見るのは、主に次の3領域です。
- 数字としての持続性
- 構造としての安定性
- 人としての適合性
この3つが揃って、初めて
“生き残れるポジション”と呼べます。
判定①:数字は「守り切れる形」か?
まずは、数字の最終確認から。
ここで見るのは、
「儲かるか?」ではありません。
チェックすべき問い
- 売上が2割落ちたら、どうなるか?
- 原価や外注費が上がったら耐えられるか?
- 自分の稼働が減ったら、即赤字にならないか?
この問いに対して、
「まあ、何とかなるはず」
という答えしか出ない場合は、黄色信号です。
生き残れるポジションは、
最悪を想定しても即死しない設計になっています。
判定②:構造は「無理を前提にしていないか?」
次に見るのが、構造です。
STEP11でも触れましたが、
ここで改めて確認します。
よくあるNG構造
- 常に120%稼働が前提
- 繁忙期を乗り切る前提
- 自分が倒れない前提
これらはすべて、
構造ではなく、祈りです。
最終判定では、
「頑張れば回る」は不合格。
- 平常運転で回るか
- 想定内の忙しさか
- 手を抜いても壊れないか
ここを冷静に見ます。
判定③:それは「あなたが背負う物語」か?
STEP12で、最も大事なのがこの視点です。
自分に問いかけてほしい質問
- このポジションを、5年後も名乗りたいか?
- 人に説明するとき、誇張しなくて済むか?
- 嫌な客を量産しないか?
意外と多いのが、
「儲かりそうだけど、自分じゃなくてもいいな…」
という違和感。
これは、立派なNGサインです。
ポジションは、
仕事の肩書きであり、生き方の一部になります。
合わないものを選ぶと、
後から必ず歪みが出ます。
ケースス:最終判定で“やめた”Bさん
ここで一つ、象徴的な事例を。
Bさんは、ニッチ市場で強い需要を発見。
単価も高く、競合も少ない。
数字だけ見れば、ほぼ満点。
ところが最終判定で、
こんな結論に至りました。
「この仕事、
ずっと“急かされる側”でい続けるな…」
・緊急対応が前提
・感情的な顧客が多い
・常に神経を張る
Bさんは、
このポジションを自ら却下しました。
結果、少し単価は下がったものの、
精神的にも時間的にも安定した道を選択。
今では、
「あのとき止まっておいて、本当によかった」
と言っています。
STEP12とは、
進むための判定であり、やめるための判定でもあるのです。
「完璧なポジション」は存在しない
ここで、現実的な話をします。
どんなポジションにも、
- 面倒な部分
- 嫌な側面
- 割り切りが必要な点
は必ずあります。
STEP12の目的は、
それらをゼロにすることではありません。
問うべきは、この一点
その不完全さを、引き受けられるか?
不満があるからNG、ではない。
納得できる不満かどうかです。
最終判定の合格ラインとは?
では、どこを合格ラインとするか。
私は、次の状態になっていれば
GOを出していいと考えています。
- 数字に「致命的な穴」がない
- 忙しさが想定内に収まっている
- 嫌な点を言語化できている
- それでも「やる」と言える
迷いがゼロである必要はありません。
むしろ、
「怖さはある。でも、腹は決まっている」
この状態こそが、
最終判定を通過したサインです。
ポジショニングは「選択」の技術である
本シリーズでは、
- 見つけたポジションを
- 現実に耐える形にし
- 生き残れるかを検証する
というプロセスを辿ってきました。
そして最後に残るのは、
テクニックではなく、選択です。
どの市場で、
どの構造で、
どんな日々を生きるか。
それを自分で選び、引き受ける。
これができたとき、
そのポジションは、もう「仮説」ではありません。
今日の一言
生き残れるポジションとは、
未来の自分に“託せる選択”である。
ここまで考え抜いたあなたなら、
もう、選んで大丈夫です。
