③STEP2 提供価値を再定義する


― 「選ばれる理由」は、生まれつきではなく“作れる” ―

「うちには、これといった強みがなくて…」

市場を決め直す話をした次に、ほぼ必ず出てくる言葉があります。

それが、
「でも、うちには特別な強みがないんですよね」
という一言です。

・技術はあるけど、どこも似たようなもの
・実績はあるけど、他社と大差ない
・結局、価格で選ばれている気がする

この感覚を持っている社長は、とても多い。
そして、多くの場合、その悩みは真面目に仕事をしてきた証拠でもあります。

ですが、ここで最初に大切なことをお伝えします。

選ばれる理由は、「見つけるもの」ではありません。
設計し、言語化し、伝えることで“作るもの”です。

「提供価値=スキルや商品」だと思っていませんか?

まず、よくある勘違いから整理しましょう。

提供価値という言葉を聞くと、多くの人はこう考えます。

  • 技術力
  • 専門知識
  • 商品の性能
  • 経験年数

もちろん、これらは重要です。
ですが、それだけでは選ばれる理由にはなりません

なぜなら、お客さんから見れば、

「それ、他でもできるよね?」

で終わってしまうからです。

提供価値とは、
「自分たちが何をできるか」ではなく、
「お客さんが何を理由に選ぶか」

の話なのです。

選ばれる理由が曖昧な会社で起きていること

提供価値が定義されていない会社では、
次のようなことが起こりがちです。

  • 営業トークが毎回バラバラ
  • ホームページの説明が抽象的
  • 価格の根拠をうまく説明できない
  • 結果として、価格競争に巻き込まれる

社長はこう思います。

「ちゃんと説明すれば分かってもらえるはずなんだけど…」

ですが、現実は逆です。
説明が必要な時点で、価値が伝わっていない
ことがほとんどなのです。

ケーススタディ|「何でもできます」が仇になった会社

ある制作系の会社の話です。

この会社の売りは、
「デザインも、WEBも、印刷も、全部対応できます」
というものでした。

社長としては、
柔軟性があり、頼りになる存在
でありたかったのです。

しかし実際には、

  • お客さんは「結局、何が得意なのか分からない」
  • 問い合わせは来るが、単価は低い
  • 毎回ゼロから説明が必要

そこで、この会社が取り組んだのが、
提供価値の再定義でした。

やったことはシンプルです。

  • 「全部できる」をやめる
  • 一番成果が出ている支援内容に絞る
  • その結果、お客さんがどう楽になったかを書く

すると、

「○○の課題なら、あの会社」
と認識されるようになり、
指名での相談が増えたのです。

提供価値は「機能」ではなく「変化」で語る

ここで、提供価値を再定義する際の
重要な視点をお伝えします。

それは、
提供価値は“機能”ではなく“変化”で語る
ということです。

×「このシステムを導入します」
×「この作業を代行します」

ではなく、

○「〇〇に悩まなくなります」
○「△△の判断が楽になります」

という形です。

お客さんが欲しいのは、
サービスそのものではありません。

サービスの先にある“状態の変化”
なのです。

「強みがない」のではなく、「整理されていない」だけ

ここで、もう一度言います。

多くの会社は、
強みがないのではありません。

  • 日常業務に埋もれている
  • 当たり前すぎて言語化されていない
  • お客さん視点に翻訳されていない

ただ、それだけです。

実際に提供価値を整理していくと、
社長自身がこう言うことがあります。

「そんなの、どこもやってると思ってました」

ですが、その“当たり前”こそが、
特定の市場にとっては、
十分に選ばれる理由になるのです。

提供価値を再定義するための3つの問い

ここで、実際に使える問いを3つ紹介します。

紙に書きながら考えてみてください。

  1. どんなお客さんが、一番喜んでくれているか?
  2. そのお客さんは、何に一番困っていたか?
  3. 自分たちが関わったことで、何がどう変わったか?

ポイントは、
「何をしたか」ではなく、
「どう変わったか」に焦点を当てること

この答えが、
提供価値の原型になります。

提供価値を決めると「やらないこと」も決まる

提供価値を再定義すると、
良い意味で“できないこと”が増えます。

  • 本来の価値につながらない仕事
  • 無理に合わせていた要望
  • 価格だけで選ばれる案件

最初は、少し怖いかもしれません。
ですが、その代わりに、

  • 説明が圧倒的に楽になる
  • 営業の迷いが減る
  • 価格の納得感が高まる

という変化が起こります。

提供価値を決めるとは、
「選ばれない理由」を先に作ること
でもある
のです。

市場 × 提供価値 が噛み合った瞬間に起きること

STEP1で市場を決め、
STEP2で提供価値を定義する。

この2つが噛み合うと、
事業は一気に楽になります。

  • 誰に向けて話せばいいか分かる
  • どんな言葉を使えばいいか分かる
  • なぜ自分たちが選ばれるのか説明できる

ここまで来て、初めて次のSTEP、
「収益の仕組み」
の話が成立します。

次回予告|価格は「お願いするもの」ではなくなる

次回は、
STEP3:収益構造を設計する
を扱います。

「値上げが怖い」
「価格の根拠が説明できない」

その悩みは、
価格の問題ではなく、
構造の問題かもしれません。

今日の一言

選ばれる理由は、才能ではない。
設計し、言葉にした会社が手に入れる。

提供価値を定義した瞬間から、
あなたの事業は“比較される側”から
“指名される側”へと変わり始めます。


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