
事業構造が変わらない本当の理由は「言葉」にある
市場を見直し、
「どこで戦うか」が少し見えてきた。
すると多くの社長が、次にこう言います。
- 「あとは、どう売るかですね」
- 「値付けを工夫すれば、いけそうです」
- 「集客を強化すれば…」
気持ちはよく分かります。
ですが、ここで一度立ち止まってください。
あなたの会社は、
自分たちの“価値”を、ちゃんと言葉にできていますか?
もし、
- 昔から同じ説明を使っている
- ホームページの文章が何年も変わっていない
- 営業トークが属人化している
このどれかに心当たりがあるなら、
事業構造が変わらない原因は、
「やり方」ではなく「言葉」にあります。
STEP2は「提供価値」を再設計する工程
STEP2のテーマは、
提供価値設計です。
ここでいう提供価値とは、
- 商品・サービスの機能
- 技術力やノウハウ
そのものではありません。
提供価値とは何か?
この講座では、提供価値をこう定義します。
提供価値 =
「顧客が、お金を払ってでも手に入れたい変化」
つまり、
- 何ができるか
ではなく - それによって、顧客はどう楽になるのか
- 何が解決されるのか
ここを言語化する工程が、STEP2です。
なぜ「言葉」を変えないと構造が変わらないのか
少し厳しいことを言います。
会社の構造は、
社長と社員が使っている言葉でできています。
- 「うちは安さが売りだから」
- 「この業界はこういうもの」
- 「お客さんは分かってくれない」
こうした言葉が、
知らないうちに、次のことを決めています。
- 価格の上限
- 顧客層
- 受ける仕事・断る仕事
つまり、
言葉が先で、数字や行動は後。
だからこそ、
言葉を変えない限り、
どれだけ頑張っても構造は変わらないのです。
ワーク①|「うちは何屋ですか?」に答えられますか?
STEP2で、最初にやるワークはこれです。
あなたの会社は、何屋ですか?
この質問に、
10秒以内で答えられるでしょうか。
しかも、
- 専門用語を使わず
- 同業者ではなく
- 初対面の人に向けて
説明する必要があります。
ありがちなNG回答
- 「〇〇業です」
- 「△△の支援をしています」
- 「幅広く対応しています」
これらはすべて、
提供価値ではなく、業種説明です。
顧客が知りたいのは、
- で、結局、何がどうなるの?
ここなのです。
ケーススタディ:IT会社の言葉を変えた例
あるIT系の会社は、
こう説明していました。
中小企業向けに、業務システムを提供しています
一見、間違っていません。
ですが、これでは、
- どこにでもありそう
- 違いが分からない
- 価格比較されやすい
という状態でした。
そこで、言葉をこう変えました。
紙やExcelで回っている業務を、
社長が“数字で判断できる状態”にします
すると、
- 問い合わせの質が変わり
- 値下げ交渉が減り
- 話が早くなった
という変化が起きました。
やったことは、
言葉を変えただけです。
ワーク②|顧客の「不満」を価値に翻訳する
次のワークは、
顧客の不満を洗い出すことです。
STEP1で選んだ市場を思い出しながら、
次の質問に答えてみてください。
- 顧客は、何にイライラしているか
- どこで手間取っているか
- 何を「仕方ない」と諦めているか
ここで重要なのは、
自社の強みを考えないこと。
あくまで、顧客側の視点に立ちます。
不満は、提供価値の原石
例えば、
- 「業者の説明が分からない」
- 「結局、何が正解か分からない」
- 「相談しても、結論をくれない」
これらはすべて、
価値に変換できる不満です。
- 分かる言葉で説明する
- 判断基準を示す
- 決断を助ける
こうした表現に変えた瞬間、
単なる作業が、提供価値になります。
ワーク③|「機能」ではなく「変化」で語る
次にやるのが、
機能を変化に言い換える作業です。
例で見てみましょう
- NG:
- 高品質な施工
- 経験豊富なスタッフ
- 丁寧な対応
- OK:
- 工事後に「これで安心」と言える状態
- 初めてでも判断に迷わない状態
- 専門知識がなくても任せられる状態
機能は、
顧客にとっては手段です。
顧客が欲しいのは、
その先にある変化です。
提供価値が曖昧だと、必ず価格で揉める
提供価値設計が弱い会社ほど、
次のような状況に陥ります。
- 「他社はいくらですか?」
- 「もう少し安くなりませんか?」
- 「違いがよく分からない」
これは、
顧客が悪いわけではありません。
価値が言葉になっていないから、
価格でしか判断できないのです。
逆に言えば、
提供価値が明確になると、
- 比較されにくくなる
- 値引き交渉が減る
- 話が早くなる
という変化が起きます。
STEP2のゴールは「正しい表現」を決めること
STEP2で目指すゴールは、
キャッチコピーを作ることではありません。
社内で使う、共通言語を決めること。
- 社長が説明するとき
- 社員が顧客と話すとき
- サービス内容を説明するとき
同じ言葉で、
同じ価値を語れる状態。
これができると、
- 判断が揃い
- 無駄な仕事が減り
- 構造が安定し始めます。
提供価値は「盛る」ものではない
最後に、大事な注意点を一つ。
提供価値設計は、
格好よく見せる作業ではありません。
- 無理に高尚な言葉を使う
- 実態以上の表現をする
これは、後で必ず歪みになります。
大切なのは、
- 今、実際に提供できている価値
- 顧客が本当に感じている変化
これを、
正確な言葉にすることです。
今日の一言
事業構造を変えたいなら、
最初に変えるべきは「価格」でも「集客」でもない。
社長と会社が使っている「言葉」だ。
言葉が変われば、
判断が変わり、
行動が変わり、
数字が後からついてきます。
