④STEP3 収益構造を組み替える


― 問題は「値上げ」ではない。「設計」ができていないだけ ―

「値上げしないと、もう厳しいんです」

事業構造の話をしていて、
STEP3の「収益構造」に入った瞬間、空気が変わることがあります。

社長の口から出てくるのは、こんな言葉です。

  • 「本当は値上げしたいんですけど…」
  • 「でも、お客さんが離れそうで怖くて」
  • 「うちは価格競争の業界なので…」

この瞬間、多くの社長の頭の中では、
「収益=値上げするか、しないか」
という二択になっています。

ですが、最初にハッキリ言っておきます。

STEP3でやることは、値上げではありません。
収益の“設計”です。

値上げの話になると、なぜこんなに苦しくなるのか

そもそも、なぜ収益の話はこんなに重たくなるのでしょうか。

理由はシンプルです。
多くの会社で、収益が後付けになっているからです。

  • 仕事が決まる
  • 内容が固まる
  • さて、いくらにしようか…

この順番で価格を決めていませんか?

このやり方だと、どうしてもこうなります。

  • 「これで高すぎないかな…」
  • 「今回は安めにしておこう」
  • 「次こそは、ちゃんと取ろう」

つまり、
価格が“お願い”になるのです。

価格がブレる会社の共通点

収益に悩んでいる会社には、
驚くほど共通点があります。

それは、
「誰から、何に対して、お金をもらっているのか」
が整理されていない
という点です。

例えば、

  • 作業量に対してなのか
  • 成果に対してなのか
  • 判断や責任に対してなのか

ここが曖昧なままだと、
価格は必ずブレます。

なぜなら、
自分たちが何を売っているのか、分からないまま
金額を付けている
からです。

ケーススタディ|作業量でしか価格を決められなかった会社

ある支援系の会社の話です。

この会社の見積は、

  • 工数
  • 回数
  • 人数

これらを積み上げて作られていました。

一見、合理的です。
ですが、問題がありました。

  • 効率化すると売上が下がる
  • 社長が関わるほど利益が減る
  • 「高い」と言われると反論できない

なぜか。

お客さんが払っているのは、
作業ではなく「判断と安心」
だったからです。

そこで、この会社は
「何に対してお金をもらうのか」
を整理し直しました。

  • 単なる作業 → 課題解決の設計
  • 時間 → 経営判断の質
  • 回数 → 伴走する責任

すると、
価格の説明が圧倒的に楽になり、
値下げ交渉がほぼなくなったのです。

収益構造とは「価格表」ではない

ここで、重要な定義を置いておきます。

収益構造とは、価格表のことではありません。

収益構造とは、

  • 誰から
  • どんな価値に対して
  • どんな形で
  • 継続的に
    お金が入ってくるか

この一連の流れのことです。

つまり、
お金の入り方の設計図
と言ってもいい。

価格は、その一部に過ぎません。

「高く売る」よりも、「取り方を変える」

STEP3で考えるべきなのは、
「高く売れるかどうか」ではありません。

考えるべきは、
「今の取り方が、提供価値と合っているか」
です。

例えば、

  • 一回ごとの単発課金
  • 月額・定額
  • 成果連動
  • フェーズごとの区切り

同じ価値でも、
取り方が変われば、
お互いの負担感はまったく違います。

多くの場合、
「値上げが怖い」のではなく、
今の取り方が無理を生んでいるだけなのです。

収益構造を組み替える3つの視点

ここで、実際に考えてほしい視点を
3つ紹介します。

① 誰が一番、価値を感じているか

すべてのお客さんが、
同じ価値を感じているわけではありません。

  • 一番助かっているのは誰か
  • 一番感謝されているのはどの層か

ここを基準に考えます。

② 何が一番、再現性のある価値か

頑張りすぎないと出せない価値は、
構造として弱い。

  • 仕組みで提供できるか
  • 他の人でも再現できるか

がポイントです。

③ 続けられる形になっているか

利益だけでなく、

  • 社長の時間
  • 社員の負荷
  • 精神的な消耗

も含めて、
続くかどうかで判断します。

「儲からない仕事」をやめるのは、勇気ではない

収益構造を見直すと、
必ず出てくるのがこの問題です。

「この仕事、正直あまり儲からないな…」

ここで多くの社長は悩みます。

  • 長年の付き合いがある
  • お世話になっている
  • 断ったら悪い気がする

ですが、冷静に考えてみてください。

儲からない仕事を続けることで、
本当に守りたいお客さんに
十分な価値を提供できていますか?

収益構造を組み替えるとは、
大切にする相手を選び直すこと
でもあるのです。

市場 × 提供価値 × 収益構造 が揃った瞬間

STEP1で市場を決め、
STEP2で提供価値を定義し、
STEP3で収益構造を組み替える。

この3つが揃うと、
会社の中でこんな変化が起きます。

  • 価格に迷わなくなる
  • 断る理由が明確になる
  • 社長のストレスが減る

そして何より、
「この仕事なら、続けられる」
という感覚が生まれます。

次回予告|忙しさの正体は「仕事の設計ミス」

次回は、
STEP4:業務構造を組み替える
を扱います。

  • なぜ忙しさが減らないのか
  • なぜ社長が手放せないのか

その原因を、
根性論ではなく
構造の視点で解き明かします。

今日の一言

利益は、お願いしても残らない。
設計した会社にだけ、自然と集まる。

収益構造を整えた瞬間から、
お金の話は“苦しいもの”ではなく、
経営の武器に変わります。


PAGE TOP