
― 忙しさと不安の正体は、“努力不足”ではなく“設計ミス” ―
「方向性は合っている気がする。でも、まだ苦しい」
STEP1で市場を決め、
STEP2で提供価値を定義し、
STEP3で収益構造を組み替えた。
ここまで来ると、多くの社長がこう感じ始めます。
- 考え方は、かなり整理された
- やるべきことも、以前より明確
- 以前より「無理な仕事」は減った
それでも、
なぜかまだ忙しい
なぜかまだ不安が残る
この違和感、実はとても重要です。
なぜなら、
ここからが本当の意味で
「勝てる形かどうか」を見極めるフェーズ
だからです。
戦略は正しくても、「回らなければ」意味がない
ここで、一つはっきりさせておきましょう。
良い戦略 ≠ 良い事業
どれだけ方向性が正しくても、
- 現場が回らない
- 社長が手放せない
- 数字がついてこない
のであれば、
それはまだ“勝てる形”ではないのです。
STEP4・5では、
これまでに描いた構造を、
- 業務(やり方)
- 数字(結果)
この2つの側面から、
徹底的に検証していきます。
STEP4|忙しさは「人」ではなく「仕事の組み方」で決まる
まずは、業務の話から始めましょう。
忙しいとき、私たちはついこう考えます。
- 人が足りない
- 能力が足りない
- もっと頑張らないといけない
ですが、現実にはこういうケースが非常に多い。
同じ人数・同じ能力でも、
忙しい会社と、そうでない会社がある。
違いを生んでいるのは、
人ではなく、仕事の構造です。
「社長がやらなくていい仕事」で一日が埋まっていないか
STEP4で必ず確認するのが、
社長の一日の中身です。
よくあるのが、こんな状態。
- 判断ではなく、作業をしている
- 本来は任せたい業務に手を出している
- トラブル対応で一日が終わる
社長自身はこう言います。
「自分がやった方が早いんですよ」
確かに、短期的には正解です。
ですが、構造としては完全にNG。
なぜなら、
- 社長がボトルネックになる
- 仕事が積み上がる
- 社長が抜けると止まる
という形が、固定化されるからです。
ケーススタディ|社長が一番忙しい会社ほど、利益が出にくい
ある会社では、
社長が最も多くの業務を抱えていました。
- 営業
- 見積
- 現場対応
- クレーム処理
社員は頑張っていましたが、
最終判断はすべて社長。
結果、
- 社長は常に疲弊
- 重要な判断が後回し
- 利益改善の手が打てない
そこで行ったのが、
業務を「判断」と「作業」に分けること。
- 社長がやるのは判断だけ
- 作業は、仕組み化・任せる
これだけで、
社長の稼働時間は大きく減り、
数字を見る余裕が生まれました。
業務整理のポイントは「やる・やらない・任せる」
STEP4でやる業務整理は、
細かい作業分解が目的ではありません。
重要なのは、この3分類です。
- 社長がやる仕事
- 任せる仕事
- やらない仕事
特に大切なのが、
「やらない仕事」を決めること。
- 利益につながらない業務
- 本来の提供価値とズレた対応
- 例外処理が多すぎる仕事
これらを減らさない限り、
どれだけ改善しても、
忙しさは戻ってきます。
STEP5|「感覚が合っているか」を数字で確かめる
業務を整理したら、
次は数字の出番です。
ここでやるのは、
細かい分析ではありません。
「この構造で、本当に勝てるのか?」
を数字で確かめるだけです。
よくある誤解ですが、
ここで使う数字は多くありません。
見るべき数字は、たったの3つ
STEP5で必ず確認する数字は、次の3つです。
- 粗利(または付加価値)
- 社長の稼働時間
- 固定費をまかなえているか
これだけです。
- 売上がいくらか
- 件数が何件か
よりも、
「残るか」「続くか」「回るか」
に集中します。
ケーススタディ|売上は伸びたのに、なぜか苦しくなった理由
ある会社では、
市場を絞り、単価も上がり、
売上は順調に伸びました。
それでも、社長はこう言います。
「数字は良いはずなのに、なぜか楽にならないんです」
数字を見直して分かったのは、
- 高粗利だが、社長依存が強い
- 社長の稼働が増えている
- 固定費増加に追いついていない
つまり、
“見た目の数字”と“実態”がズレていたのです。
そこで、
- 社長の関与を減らす業務設計
- 価格と関与度の再調整
を行い、
ようやく「勝てる形」になりました。
数字は「評価」ではなく「確認」のために使う
数字を見ると、
つい良し悪しを判断したくなります。
ですが、STEP5での数字は、
自分を責めるためのものではありません。
- この構造でいけるか?
- どこが無理をしているか?
- どこを直せばいいか?
を確認するための、
チェックシートのようなものです。
だからこそ、
シンプルでいい。
業務と数字が噛み合ったときに起きる変化
STEP4・5をしっかり行うと、
会社の中で、こんな変化が起こります。
- 忙しさの理由が説明できる
- 手放すべき仕事が分かる
- 数字に対する不安が減る
そして何より、
「この形なら、続けられる」
という実感が持てる。
これが、
勝てる構造のサインです。
次回予告|「分かっているのに動けない」を超える
次回はいよいよ最終回、
STEP6:転換を実行に落とす
を扱います。
- なぜ、分かっていても動けないのか
- どうすれば、現実を変えられるのか
構造転換を
“絵に描いた餅”で終わらせないための話
をお届けします。
今日の一言
勝てるかどうかは、
気合ではなく“回るかどうか”で決まる。
業務と数字を通して構造を検証したとき、
事業は初めて
安心して続けられるものになります。
