⑤STEP4・5 業務と数字で「勝てる形」を検証する


― 忙しさと不安の正体は、“努力不足”ではなく“設計ミス” ―

「方向性は合っている気がする。でも、まだ苦しい」

STEP1で市場を決め、
STEP2で提供価値を定義し、
STEP3で収益構造を組み替えた。

ここまで来ると、多くの社長がこう感じ始めます。

  • 考え方は、かなり整理された
  • やるべきことも、以前より明確
  • 以前より「無理な仕事」は減った

それでも、
なぜかまだ忙しい
なぜかまだ不安が残る

この違和感、実はとても重要です。

なぜなら、
ここからが本当の意味で
「勝てる形かどうか」を見極めるフェーズ
だからです。

戦略は正しくても、「回らなければ」意味がない

ここで、一つはっきりさせておきましょう。

良い戦略 ≠ 良い事業

どれだけ方向性が正しくても、

  • 現場が回らない
  • 社長が手放せない
  • 数字がついてこない

のであれば、
それはまだ“勝てる形”ではないのです。

STEP4・5では、
これまでに描いた構造を、

  • 業務(やり方)
  • 数字(結果)

この2つの側面から、
徹底的に検証していきます。

STEP4|忙しさは「人」ではなく「仕事の組み方」で決まる

まずは、業務の話から始めましょう。

忙しいとき、私たちはついこう考えます。

  • 人が足りない
  • 能力が足りない
  • もっと頑張らないといけない

ですが、現実にはこういうケースが非常に多い。

同じ人数・同じ能力でも、
忙しい会社と、そうでない会社がある。

違いを生んでいるのは、
人ではなく、仕事の構造です。

「社長がやらなくていい仕事」で一日が埋まっていないか

STEP4で必ず確認するのが、
社長の一日の中身です。

よくあるのが、こんな状態。

  • 判断ではなく、作業をしている
  • 本来は任せたい業務に手を出している
  • トラブル対応で一日が終わる

社長自身はこう言います。

「自分がやった方が早いんですよ」

確かに、短期的には正解です。
ですが、構造としては完全にNG。

なぜなら、

  • 社長がボトルネックになる
  • 仕事が積み上がる
  • 社長が抜けると止まる

という形が、固定化されるからです。

ケーススタディ|社長が一番忙しい会社ほど、利益が出にくい

ある会社では、
社長が最も多くの業務を抱えていました。

  • 営業
  • 見積
  • 現場対応
  • クレーム処理

社員は頑張っていましたが、
最終判断はすべて社長。

結果、

  • 社長は常に疲弊
  • 重要な判断が後回し
  • 利益改善の手が打てない

そこで行ったのが、
業務を「判断」と「作業」に分けること

  • 社長がやるのは判断だけ
  • 作業は、仕組み化・任せる

これだけで、
社長の稼働時間は大きく減り、
数字を見る余裕が生まれました。

業務整理のポイントは「やる・やらない・任せる」

STEP4でやる業務整理は、
細かい作業分解が目的ではありません。

重要なのは、この3分類です。

  1. 社長がやる仕事
  2. 任せる仕事
  3. やらない仕事

特に大切なのが、
「やらない仕事」を決めること

  • 利益につながらない業務
  • 本来の提供価値とズレた対応
  • 例外処理が多すぎる仕事

これらを減らさない限り、
どれだけ改善しても、
忙しさは戻ってきます。

STEP5|「感覚が合っているか」を数字で確かめる

業務を整理したら、
次は数字の出番です。

ここでやるのは、
細かい分析ではありません。

「この構造で、本当に勝てるのか?」
を数字で確かめるだけ
です。

よくある誤解ですが、
ここで使う数字は多くありません。

見るべき数字は、たったの3つ

STEP5で必ず確認する数字は、次の3つです。

  1. 粗利(または付加価値)
  2. 社長の稼働時間
  3. 固定費をまかなえているか

これだけです。

  • 売上がいくらか
  • 件数が何件か

よりも、
「残るか」「続くか」「回るか」
に集中します。

ケーススタディ|売上は伸びたのに、なぜか苦しくなった理由

ある会社では、
市場を絞り、単価も上がり、
売上は順調に伸びました。

それでも、社長はこう言います。

「数字は良いはずなのに、なぜか楽にならないんです」

数字を見直して分かったのは、

  • 高粗利だが、社長依存が強い
  • 社長の稼働が増えている
  • 固定費増加に追いついていない

つまり、
“見た目の数字”と“実態”がズレていたのです。

そこで、

  • 社長の関与を減らす業務設計
  • 価格と関与度の再調整

を行い、
ようやく「勝てる形」になりました。

数字は「評価」ではなく「確認」のために使う

数字を見ると、
つい良し悪しを判断したくなります。

ですが、STEP5での数字は、
自分を責めるためのものではありません。

  • この構造でいけるか?
  • どこが無理をしているか?
  • どこを直せばいいか?

を確認するための、
チェックシートのようなものです。

だからこそ、
シンプルでいい。

業務と数字が噛み合ったときに起きる変化

STEP4・5をしっかり行うと、
会社の中で、こんな変化が起こります。

  • 忙しさの理由が説明できる
  • 手放すべき仕事が分かる
  • 数字に対する不安が減る

そして何より、

「この形なら、続けられる」
という実感が持てる。

これが、
勝てる構造のサインです。

次回予告|「分かっているのに動けない」を超える

次回はいよいよ最終回、
STEP6:転換を実行に落とす
を扱います。

  • なぜ、分かっていても動けないのか
  • どうすれば、現実を変えられるのか

構造転換を
“絵に描いた餅”で終わらせないための話
をお届けします。

今日の一言

勝てるかどうかは、
気合ではなく“回るかどうか”で決まる。

業務と数字を通して構造を検証したとき、
事業は初めて
安心して続けられるものになります。


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