― 価格競争から抜け出すためのポジショニング再設計|第6回目(全6回) ―
「分かったつもり」で止まってしまう人が、一番もったいない
ここまでのSTEPを振り返ってみましょう。
- STEP1:価格競争に陥る構造を理解し
- STEP2:やりたくない仕事を言語化し
- STEP3:競合を見るほどポジションは分からなくなると知り
- STEP4:「強み」ではなく「選ばれた理由」から考える
──ここまで来ると、多くの人がこう思います。
「なんとなく、自分の立ち位置は見えてきた気がする」
実は、ここが一番危ないポイントです。
なぜなら、「なんとなく分かった」は、
現場では一切、役に立たないからです。
- 値引き要請をされたとき
- 「他社はもっと安いですよ」と言われたとき
- 新しい集客メッセージを考えるとき
こうした場面で支えになるのは、
感覚ではなく、“言葉になったポジション”だけ。
STEP5・6では、
これまで考えてきたことを一度きれいに束ね、
「価格競争に巻き込まれないポジション仮説」として言語化していきます。
ポジションは「結論」ではなく、「仮説」でいい
まず、最初にお伝えしたい大切な考え方があります。
それは──
ポジションは、完成形を一発で作るものではないということ。
多くの人が、こんなふうに考えています。
「ちゃんとしたポジショニングを作らなきゃ」
「ズレたら恥ずかしい」
「間違ったらどうしよう」
でも、これは完全に逆です。
ポジショニングとは、
市場に問いを投げる“仮説”であり、
あとから検証・修正していくもの。
だからこそ、STEP5ではまず、
完璧を目指さず、言葉にすることを優先します。
STEP5|「誰に・何を・なぜ」でポジションを仮置きする
では、具体的にどう言語化するのか。
ここで使うのが、
とてもシンプルな3点セットです。
- 誰に
- 何を
- なぜ選ばれるのか
この3つを、1〜2文で説明できる状態を目指します。
フォーマット例
私たちは、
〇〇な悩みを抱える△△に対して、
□□という価値を提供しており、
それは××だから選ばれている。
ポイントは、
キレイな言葉にしようとしないこと。
むしろ、少し不格好なくらいでちょうどいい。
ケース①|「何でも屋」から抜け出せなかった制作会社
ある小規模なWeb制作会社の事例です。
この会社は、
- ホームページ制作
- LP制作
- バナー
- 保守運用
何でも対応できるのが売りでした。
しかし実際には、
毎回、価格比較の末に値引きを求められ、
疲弊していました。
そこで、この会社が仮置きしたポジションがこちら。
私たちは、
Webに詳しくない小規模事業者に対して、
「作って終わり」ではなく、更新と改善を前提にしたサイトを提供しており、
専門用語を使わず、運用まで伴走する点で選ばれている。
この時点では、
まだ洗練された言葉ではありません。
ですが、ここで初めて、
「安さで選ばれなくてもいい理由」が生まれました。
STEP6|その言葉が「行動の基準」になるかをチェックする
ポジション仮説は、
書いて終わりではありません。
STEP6では、その言葉が
現場で使えるかどうかをチェックします。
チェックポイントは3つ。
① 値引き要請に耐えられるか?
「他社はもっと安いです」と言われたとき、
そのポジションは、自分を守ってくれるか。
もし、
「そうですよね…」
としか返せないなら、
まだポジションは弱い。
② やらない仕事を断る理由になるか?
STEP2で整理した
「やりたくない仕事」。
それを断るとき、
このポジションを理由にできますか?
「うちはそこを大事にしていないので」
「このやり方は、うちの価値提供とはズレてしまうので」
こう言えるなら、合格です。
③ 発信・集客の軸になるか?
ブログ、SNS、営業トーク。
すべての発信が、
このポジションに回収されていくか。
もし発信テーマがバラけるなら、
言葉がまだ抽象的すぎる可能性があります。
ケース②|「技術力」では勝てなかった職人系ビジネス
別の事例を見てみましょう。
ある職人系の事業者は、
「技術力の高さ」を売りにしていました。
しかし、周囲も同じようなことを言っており、
結局は価格勝負に。
そこで見直したのが、
「選ばれた理由」。
実際の顧客の声を拾っていくと、
こんな言葉が多く出てきました。
- 説明が分かりやすかった
- 無理なことは無理と言ってくれた
- 仕上がり後の使い方まで教えてくれた
そこから仮置きしたポジションがこちら。
私たちは、
初めて依頼する人に対して、
不安を残さない説明と、使い続ける前提の仕事を提供しており、
「安心して任せられる」と言われて選ばれている。
結果として、
「一番安いかどうか」を聞かれる場面は激減しました。
ポジション仮説は「磨く前提」で持てばいい
ここで大事なのは、
この言葉が一生モノである必要はないということ。
むしろ、
- 実際に使ってみて
- 反応を見て
- ズレたら直す
この繰り返しで、
ポジションは徐々に強くなっていきます。
最初から完成形を目指すより、
「行動できる言葉」を持つことの方が、
何倍も価値があります。
価格競争に巻き込まれない人は、言葉を持っている
ここまで読んでいただいて、
ひとつ気づいてほしいことがあります。
価格競争に巻き込まれない人たちは、
特別な才能があるわけでも、
すごい実績があるわけでもありません。
ただひとつ共通しているのは、
「自分は、なぜ選ばれているのか」を言葉で説明できる
ということ。
この言葉があるからこそ、
- 無理な値引きをしない
- 合わない仕事を断れる
- 集客メッセージがブレない
という状態が生まれます。
今日の一言
ポジショニングは、探すものではない。
「こう在りたい」という仮説を、
言葉にするところから始まる。
