ー 導き出したポジションを生き残れる形にする|第2回目(全6回) ー
「高いですね」と言われた瞬間、何が起きているのか
価格を提示した瞬間に、
こんな反応をされたことはないでしょうか。
「ちょっと高いですね…」
「予算的に厳しいかもしれません」
「他と比べて検討します」
このとき、多くの人はこう考えます。
- 値段を下げるべきだったのか
- もっと安く見せる工夫が必要だったのか
- 自分の説明が下手だったのか
でも、STEP8で扱うのは、
「話し方」や「見せ方」の問題ではありません。
問題はもっと根本的なところにあります。
それは──
価格が、構造として正当化されていない
ということです。
価格は「数字」ではなく「物語」で決まる
人は、価格を見て判断しているようで、
実は 価格の裏にある理由 を見ています。
同じ10万円でも、
- 「なんとなく10万円」
- 「そうなる理由が明確な10万円」
では、受け止め方がまったく違います。
STEP8で目指すのは、
「高くても納得される説明」ではありません。
「価格を疑われない構造」を、
あらかじめつくっておくことです。
値下げ要求は、価格の問題ではない
まず、はっきりさせておきましょう。
値下げを求められるとき、
相手が本当に言っているのは、
「この金額を払う理由が、
まだ腑に落ちていない」
というサインです。
つまり、
- 高いから断られているのではない
- 価格と価値のつながりが見えていない
STEP7で
「誰が・何にお金を払うのか」を定めました。
STEP8では、
その“払う理由”を、価格と結びつける
工程に入ります。
「原価」や「手間」では、価格は正当化できない
ここで、よくある失敗例を見てみましょう。
価格の理由を聞かれて、こう説明してしまうケース。
- 「かなり時間がかかるので…」
- 「専門的な作業が多くて…」
- 「工数がこれくらいなので…」
これは、
提供側の都合の説明です。
残念ながら、
顧客はそこにほとんど価値を感じません。
顧客が払いたいのは、
- あなたが大変かどうか
- 手間が多いかどうか
ではなく、
「それによって、自分はどう変わるのか」
です。
ケース①|「高い」と言われ続けた専門家
ある専門職の人がいました。
知識も経験も十分。
実績もある。
それなのに、
価格を出すたびに「高い」と言われる。
理由を聞くと、
説明はこうでした。
「この分野は専門性が高くて」
「通常より工程が多いんです」
悪くない説明に見えます。
でも、顧客視点ではこう聞こえます。
「で、私にとって何がいいの?」
この人がやったのは、
価格を「成果ベース」に置き換えることでした。
- どんな判断ができるようになるのか
- 何を間違えずに済むのか
- どんなリスクを避けられるのか
すると、
同じ価格でも「高い」と言われなくなったのです。
価格を正当化する3つの軸
STEP8では、
価格を次の3つの軸で支えます。
① 問題の深刻度
まず、その価格は
「どれくらい深刻な問題」を前提にしているか。
- 放置するとどうなるのか
- 最悪の場合、何を失うのか
問題が浅く見える限り、
価格は必ず高く感じられます。
② 判断の代替不可能性
次に、
- それを自分で判断できるか
- 他で簡単に代替できるか
「自分では判断できない」
「間違えたくない」
ここが明確になるほど、
価格は正当化されます。
③ 未来の変化
最後に、
- 支払った後、何が変わるのか
- どんな状態が“当たり前”になるのか
ここが言語化されていないと、
価格はただの数字になります。
「価格表」を出す前に、やるべきこと
多くの人が、
価格を決めるときに最初にやるのが、
- 相場を見る
- 競合と比べる
でも、STEP8では逆です。
先に決めるべきは、
「この価格は、どんな判断を引き受ける対価なのか」。
例えば、
- 失敗したら数百万円の損失になる判断
- 数年先の経営を左右する判断
- 戻れない選択を迫られる判断
こうした判断を引き受けるなら、
価格が安い方が不自然です。
ケース②|価格を上げたら、逆に売れた話
ある人は、
価格を上げることが怖くて、
ずっと低価格で提供していました。
結果、
- 手間は増える
- 余裕はなくなる
- 真剣でない人も増える
思い切ってやったのは、
- 対象を「本気で困っている人」に絞る
- 提供する価値を「判断の代行」と定義する
すると、
価格を上げたにも関わらず、
- 相談の質が上がり
- 話が早くなり
- 仕事が楽になった
価格を正当化したのではなく、
価格が成立する構造をつくった結果です。
高い・安いを決めているのは、顧客ではない
最後に、
とても重要な視点をひとつ。
価格が高いか安いかを決めているのは、
顧客ではありません。
あなた自身が、
その価格を「当然だ」と思えているか
です。
自分で少しでも、
- 高いかも
- 申し訳ない
- 言いにくい
と感じていると、
その違和感は必ず伝わります。
STEP8とは、
価格を守るためのテクニックではなく、
自分自身が腹落ちするための構造づくり
なのです。
本シリーズは、いよいよ終盤へ
STEP7で
「誰が・何に払うのか」を定め、
STEP8で
「なぜその価格なのか」を構造化しました。
次はいよいよ、
- そのポジションと価格を
- どうやって“選ばれ続ける形”にするのか
へ進みます。
今日の一言
価格は、説明するものではない。
“その金額で当然だ”と思える構造が、
先にできていなければならない。
ここが定まったとき、
価格は武器になります。
